研究課題
最終登録患者は皮質基底核症候群(CBS)20例、進行性失語症(PA)患者23例であった。CBS群は左側上下肢の障害を示したものが9例、他は右側の障害であった。左側優位の障害を示した例のうち失語症状を示した症例は2例であった。初発症状は4例が記憶障害であり、他は全例が片側の運動障害であった。髄液検査にてADパターンを示した症例は3例であり、全例初発症状が物忘れであった。DATscanでは髄液ADパターンの症例も、非ADパターンの症例も線条体における特異的カウント値は障害側で対側より顕著に低下していた。しかし、髄液ADパターンの症例ではカンマ状ではなかった。PA患者は進行性非流暢性失語(PNFA)が10例、意味性認知症(SD)が4例、分類不能例が9例であった。髄液ADパターンであったのはPNFA患者の2例でSD患者で髄液ADパターンを示すものはいなかった。2例のPNFA患者の脳血流シンチは側頭頭頂葉の低下が目立ち左右差の強いADパターンであり、心理検査では論理的記憶の低下と興奮性を呈していた。DATscanは髄液ADパターン、非ADパターンにかかわらず、線条体の結合比は右よりも左で低下している例が多かったが、有意な差はなかった。CBSにおいては髄液非ADパターンの症例の背景病理は皮質基底核変性症(CBD)である可能性が高く、CBS-ADとCBS-CBDの鑑別にDATscanはある程度有用である可能性が示唆された。また、髄液ADパターンのPA患者は行動障害が強い可能性が示唆された。
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Ann Nucl Med
巻: 未定 ページ: 未定
DOI 10.1007/s12149-017-1168-1