研究課題/領域番号 |
26460924
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40350615)
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研究分担者 |
古川 俊行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20645569)
足利 光平 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60645604)
米山 喜平 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70386944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | たこつぼ / カテコラミン |
研究実績の概要 |
たこつぼ症候群に対する脳と心臓の関係を明らかにすることを目的として研究を立案した。発症後間もなく頭部MRスペクトロスコピー(MRS)検査を施行し、交換神経核が豊富に存在すると考えられる視床に焦点をあて、その活動性を評価した。 連続12例のたこつぼ症候群患者(平均78歳)に対し、各種検査をプロトコルに従って施行した。来院時の特徴的なたこつぼ様左室収縮形態を示した症例で、左室駆出率44.1±6.3%がは半年の経過とともに61.6±5.9%まで改善し(p<0.001)、血中BNP濃度は449.8±291.8pg/mlから40.1±23.9pg/mlへ減少(p<0.001)、血液中ノルアドレナリン濃度は0.94±0.78pg/mlから0.42±0.16pg/ml(p<0.001)、心筋MIBG洗い出し率は43.2±9.3%から29.8±9.6%へそれぞれ改善していた。ホルター心電図から解析した副交感神経指標とされているSDNNは、急性期が92.8±31.4msecから慢性期に131.5±46.3msecへと増加していた(p<0.05)。 入院後平均2.6±1.2日に、single voxel法で撮像した頭部(視床)MRSでは、N-アセチルアスパラギン酸が急性期に6.8±0.6ppmであったものが、半年後には6.9±0.6ppmを示し、変化が認めなかった。改善した心臓や採血結果から得られたパラメータとMRSデータとの間に相関関係を認めなかった。本症候群において、劇的な心臓と全身におけるカテコラミン動態が変化する中、脳内での神経興奮の変化をMRSでは十分に観察することが出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例が目標数に達成していないものの、順調に集まり、解析して傾向を掴むことが出来た。脳内での変化はMRSでの評価に限界があるものと考えられた。過去の報告のように、脳内での変化は劇的なものではない可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今回の課題では、脳内での変化をいち早く検出するために視床におけるMRSが有用であろうという仮説を立て、実証を試みたものの、有意な変化を観察することが出来なかった。今後は脳内での評価をより空間分解能の高いとされる機能性MRIか脳磁図を用いることで代用可能かをパイロットで検討したい。また脳内PETを用いることで評価可能と考えられるが、当院ではPETを導入しておらず、今後の課題とされている。 たこつぼ症候群で来院される患者のうち、何らかの理由でMRI検査が出来ない、もしくは慢性腎臓病にて造影検査が出来ない等の制限が多く見られたため、心機能や全身状態の把握のためには非侵襲的検査での評価で代用出来るものは代用することで検査手法に幅を持たせるべきと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際共同研究ワーキンググループのメンバーとして、国際学会期間中の研究ミーティングに出席するため、出張経費が必要となる見込みです。
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究者と共に、夏のヨーロッパ心臓病学会への旅費等に経費を計上する予定であることと、その他の学会での発表に際し、使用予定である。
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