研究課題/領域番号 |
26460929
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
鍋島 茂樹 福岡大学, 医学部, 教授 (50304796)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 麻黄湯 / インフルエンザ / オートファジー / エンドゾーム / ライソゾーム |
研究実績の概要 |
この研究計画では、漢方薬の麻黄湯が細胞のオートファジーに与える影響を分子レベルで探索し、麻黄湯による宿主のオートファジー機能強化を介した感染防御メカニズムを明らかにする。具体的には、麻黄湯による1)オートファゴゾーム誘導・成熟の分子機構、2)オートファジー機能強化がインフルエンザウイルス生活環のどの部分に作用するのか、3)麻黄湯のエンドゾームに与える影響、について探索してきた。 2)に関して、麻黄湯がインフルエンザの増殖阻害の作用を有するのはインフルエンザの生活環のごく初期においてであることがわかってきた。これは、インフルエンザ感染直後30分間、麻黄湯を作用させた時と、感染後90分から120分の間作用させた時では、有意に最初の30分間作用させた時がインフルエンザウイルス遺伝子の増幅(PCR)が抑制されていたことから確かめられた。さらに、初期のウイルス抑制は、インフルエンザウイルスがエンドゾームから細胞質への脱核を阻害しているメカニズムが強く示唆された。これは、アクリジンオレンジ染色により、エンドゾームの酸性化が抑えられていることから確かめられた。つまり、インフルエンザウイルスは、麻黄湯によりエンドゾームの酸性化が抑えられることにより、エンベロープとエンドゾーム膜の融合が阻害され、細胞質にウイルスRNAが放出される過程を抑制することがわかった。 麻黄湯はオートファジーの活性化をおこすが、インフルエンザによる細胞のアポトーシスを阻害する作用ももつことが、わかった。これは培養細胞にウイルスを感染させて24時間経過するとアポトーシス(DNAラダーおよび、LDHアッセイ)が顕著となるが、そこに麻黄湯を作用させると、アポトーシスがほぼ抑制されることから確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむねとしたのは、麻黄湯はオートファジーへの影響もあるが、エンドゾームシステムやアポトーシス、サイトカイン産生への影響も大きいため、そちらの研究にも時間を費やしているため。
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今後の研究の推進方策 |
1)オートファジーに関して:オートファジーは細胞の恒常性維持に不可欠であり、ウイルス感染でも大きな意味を持つと思われる。麻黄湯がオートファジーに分子レベルでどのような作用を持つかを検討する。 2)エンドゾームシステムへの影響:これまでの実験で、麻黄湯がエンドゾームの酸性化を阻害することがわかった。さらにエンドゾームの細胞内輸送に与える影響、ライソゾームとの融合に与える影響、オートファジーに与える影響等を検討する。また、エンドゾームやライソゾームの酸性化を行うvacuolar ATPaseに作用しているかどうかを分子レベルで検討する。 3)アポトーシスへの影響:アポトーシス抑制の機序に関して検討する。 4)サイトカイン産生への影響;種々の細胞株を用いて、インフルエンザがどういった炎症性サイトカイン産生を亢進させるか、また麻黄湯がそれらのサイトカイン産生にどのような影響をあたえるかについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費が、今のところ他研究室のシークエンサ等を代用して使用しているので、使用していないため、次年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究がさらに進展することにより、シークエンサやコンピュータ解析装置などの購入を予定している。
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