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2015 年度 実施状況報告書

神経・癌相互作用による膵癌悪液質の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 26460930
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

光永 修一  国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 医長 (20466197)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード膵がん / 悪液質 / 神経浸潤 / 疼痛 / IL-6 / マウスモデル
研究実績の概要

本研究は、膵癌神経浸潤部では腫瘍細胞でのIL-6発現が亢進し、腫瘍細胞由来IL-6が神経組織の反応である疼痛および脊髄アストロサイト活性化や悪液質の原因となることを立証するために計画された。方法として、ヒト膵癌細胞株Capan-1をSCIDマウスの座骨神経内に直接注入することで作製される膵癌神経浸潤マウスモデルにおいて腫瘍細胞由来IL-6に関連する事象を特定し、腫瘍細胞由来IL-6阻害による効果を確認する。また、臨床へのトランスレーションのため、進行膵がん患者における高度神経浸潤とIL-6濃度および臨床像との関連も解析する。
平成26年度の検討では、皮下腫瘍モデルと比較検討により明らかになった膵癌神経浸潤マウスモデル関連事象は、作製から4週後より始まる体重減少、異痛、腫瘍由来IL-6量が増加であった。また、IL-6発現が抑制されているCapan-1細胞の作製に取り組み、Parent wild-type Capan-1と比較して、細胞増殖の対数増殖期がほぼ同一で、control shRNAであればヒトIL-6 mRNA発現が明瞭に低下しておらず、hIL-6 shRNAであればヒトIL-6 mRNA発現が明瞭に低下したクローンを選択した。
平成27年度の検討では、神経浸潤モデルを用いて腫瘍細胞由来IL-6阻害効果を検討した。具体的には、PBSのみをマウス座骨神経内に注入したsham群(N=9)、control shRNA Capan-1クローンを座骨神経内に注入したcontrol群(N=8)、hIL-6 shRNA Capan-1クローンを注入したshIL-6群(N=8)を比較検討した。作製から6週後にsham群と比較すると、control群の体重は低下したが(P<0.1)、shIL-6群の体重との差を認めなかった。神経浸潤距離では、control群と比較してshIL-6群の神経浸潤距離は抑制されていた(P=0.12)。摂食量に有意な差を認めなかった。現在、座骨神経と接続する脊髄アストロサイトに対する影響を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IL-6 shRNAを組み込んだ膵癌細胞株クローンを作製し、神経浸潤マウスモデルにおける作用を検討することができた。脊髄アストロサイトへの影響の検討は順調に進捗しているため、本年度以降の研究実施は遅滞なく実施できると考えられた。

今後の研究の推進方策

腫瘍細胞由来IL-6抑制による神経浸潤マウスモデルにおける脊髄アストロサイトへの影響を検討する。進行膵がん患者における高度神経浸潤とIL-6濃度および疼痛や悪液質との関連を検討するための臨床情報の収集は終了し、現在解析中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] C-Reactive Protein Level Is an Indicator of the Aggressiveness of Advanced Pancreatic Cancer.2016

    • 著者名/発表者名
      Mitsunaga S
    • 雑誌名

      Pancreas

      巻: 45 ページ: 110-116

    • DOI

      10.1097/MPA.0000000000000465

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Characterization of Patients With Advanced Pancreatic Cancer and High Serum Interleukin-6 Levels.2015

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Mitsunaga S,
    • 雑誌名

      Pancreas

      巻: 44 ページ: 756-763

    • DOI

      doi: 10.1097/MPA.0000000000000335

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 膵癌肝転移におけるreplacement growth patternは膵癌悪性度の指標となる2015

    • 著者名/発表者名
      光永修一
    • 学会等名
      第74回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [学会発表] S100A8/A9 as a potent serological marker in monitoring the activity of chemotherapy in pancreatic cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Mitsunaga S
    • 学会等名
      2015 ASCO Annual Meeting
    • 発表場所
      Chicago アメリカ合衆国
    • 年月日
      2015-05-29 – 2015-06-02
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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