研究課題/領域番号 |
26460931
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
林 真一郎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (20396740)
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研究分担者 |
里 直行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372612)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オートファジー / 生活習慣病 / 血管内皮 |
研究実績の概要 |
本研究では、生活習慣病における血管内皮機能変化と内皮細胞のオートファジー制御機構の関連性を探り、血管内皮のオートファジーが動脈硬化や脳心血管病への病態進展にどのような役割をもつのか明らかにすることを目的としている。 平成26年度には、血管内皮細胞のオートファジー制御に関わる分子の探索を行い、以下の結果を得た。 ヒト培養血管内皮細胞にオートファジーを誘導後、DNAマイクロアレイ、プロテインアレイ解析を行い、内皮細胞のオートファジー関連性分子の選定を行った。血管内皮のオートファジー誘導により有為な発現変化を示す分子群を探索したところ、細胞内cyclic AMP (cAMP)の調整に重要なphosphodieseterase type3、発生や組織再生に必要なTGF/BMPシグナルの細胞内調整因子smad,そして細胞生存に関与するpim kinaseを選定した。培養血管内皮細胞において、これら選定分子を強制的に発現調節を行ったところ、オートファジーの制御が見られ、さらには細胞増殖、一酸化窒素(NO)、血管再生能などの血管内皮機能にも関与することが確認できた。アレイ解析データよりさらなる関連分子の選定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の平成26年度の研究目標に沿って順調に研究を進めている。血管内皮細胞のオートファジー制御に関わるいくつかの候補遺伝子を発見できた。また、生活習慣病研究や、大規模なデータ解析、データベースの構築で著名な米国研究機関にて、招待講演の機会を得て、本研究成果の一部を未発表データとして発表した。基礎、臨床の著名な研究者との交流もあり、今後の研究推進に重要な種々のアドバイスやフィードバックを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究計画において得られた結果に対し確認実験(マイクロアレイ、プロテインアレイを含む)、さらなる関連分子の選定、そして平成27年度以降の研究計画に沿って、以下の研究を推進する予定である。 (1)生活習慣病のモデル動物および培養細胞を用い、生活習慣病が、血管内皮のオートファジー制御に及ぼす影響を調べる。特に重要な分子群の同定を試みる。 (2)動脈硬化モデル、下肢虚血モデル、脳梗塞モデルの作成、そして培養細胞の実験系を用い、生活習慣病を起因とする動脈硬化や脳心血管病に、血管内皮のオートファジーが関与するのか調べる。関連分子群の同定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度交付額のなかで次年度使用額が生じたのは以下の理由になります。平成26年度は、当初の計画より効率よく、物品・消耗品を使用することができ、また、共同研究施設において前年度末に確保できた物品・消耗品も本研究に使用できた。また、年度後半に計画していた研究結果の確認実験の一部は、招待講演、学会発表等でフィードバックが得られたことにより、次年度前半に行う予定となった。ヒト培養細胞などの物品費、消耗品費、そして委託による発現解析費の一部を次年度前半に使用できるよう考慮した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度交付額で生じた次年度使用額と翌年度分請求助成金を合わせることで、平成26年度後半に計画していた確認実験の一部と、平成27年度以降の研究を計画に沿って進める予定である。
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