本研究は、生活習慣病における血管内皮機能変化と内皮細胞のオートファジー制御機構の関連性を探り、血管内皮のオートファジーが動脈硬化や心血管病への病態進展にどのような役割をもつのか明らかにすることを目的とする。 研究計画を進めることで、血管内皮細胞のオートファジー関連分子をいくつか選定することができた。平成29年度の延長期間には、確認実験や、追加実験を行い、血管内皮の性ホルモン関連分子など研究展開が期待できる新規分子の発見にもつながっている(国際学会発表 American Hear Association Scientific Session 2017)(招待講演 日本高血圧学会2017)。生活習慣病のモデル動物を用いた検討からは、高血圧や高インスリン血症の状態で血管内皮にオートファジーが誘導されることを発見している。培養細胞とモデル動物の実験系で、血管内皮のオートファジーカスケード活性化に伴う内皮機能変化の可能性も明らかになった。生活習慣病の関連疾患として注目されるアルツハイマー病のモデル動物においても、脳血管内皮にオートファジーが誘導されており、生活習慣病と共通した血管内皮の変容が起きている可能性がある(招待講演 Veterans Affairs Palo Alto Health Care System 2017)。このように将来の研究開発基盤となる重要な基礎データを得ることができた。
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