研究実績の概要 |
本研究では胃食道接合部癌の幹細胞の同定と治療法の開発を目標としている。 H26年度は、K19-cre; KrasG12D; TGFbR2 f/fマウスにタモキシフェンを投与し、経時的に胃食道接合部の組織を免疫染色と遺伝子発現解析を行った。 腫瘍部ではKi67, PCNAの細胞増殖マーカー蛋白が高発現していた。また細胞形質マーカーでは扁平上皮のマーカーであるKRT1, KRT14の高発現に加えて腺上皮の形質マーカーとして用いられるKRT7, KRT8の発現がみられた。また遺伝子発現変化でも同様の変化がみられ、さらに幹細胞のマーカーとして知られるSOX2, SOX9, CD44などの分子の発現が著明に増加しており、本モデルの接合部癌が扁平上皮と腺上皮の形質、また幹細胞の形質を有することが示唆された。またこれらの接合部癌から二種類の癌細胞株の樹立に成功した。今後オルガノイドが作成できるか三次元培養を試み、種々のシグナル刺激により分化誘導が可能であるか検討する。 接合部癌幹細胞の同定のためにRosa-EYFPおよびRosa-LacZ遺伝子を導入し、腫瘍細胞の系譜追跡を行った。腫瘍細胞はEYFPおよびb-galactosidase染色を行い、弱いながらもほぼすべての細胞がK19陽性細胞から発生していることが示された。 また癌悪性化に関与する遺伝子異常の解析目的で、K19-cre; KrasG12D; TGFbR2 f/fマウスにe-cadherinのコンディショナルノックアウトマウスの交配を開始した。
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