研究課題/領域番号 |
26460935
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
古田 隆久 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (10303546)
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研究分担者 |
大澤 恵 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10397391)
松山 幸弘 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20312316)
杉本 健 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20529507)
渡邉 裕司 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50262803)
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
小川 法良 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80308618)
杉本 光繁 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80397398) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナプロキセン / NSAIDS / 13C / 呼気テスト |
研究実績の概要 |
前年度の研究で決定した13C-Naproxen呼気試験における至適13C-Naproxen (NPX) 投与量の決定、至適呼気採取ポイントに従って、NSAID内服時の胃粘膜傷害のリスク評価のカットオフ値をもとめた。 健常ボランティア15名にNPX 300mgを2日間内服後の胃粘膜傷害をLANZAスコアにて評価した。 13C-NPX 300 mgを内服させ、内服前、30、60、120分後に呼気を採取し呼気中の13CO2を測定し、AUC0-2 (‰•hr)を求めた。NPX 300mg内服2日後の内視鏡的胃粘膜の損傷はLANZA SCORE Grade 0: n = 0, Grade 1: n = 4, Grade 2: n = 1, Grade 3: n = 7, Grade 4: n = 3, Grade 5: n = 0であった。Lanza ScoreとAUC0-2 は有意な負の相関を示し、AUC0-2 が5.8(Δ‰・hr)未満で、全例Grade 3以上であった。即ち、NPX内服時の胃粘膜傷害はAUC0-2 が5.8 (Δ‰・hr)未満では中等症以上となる可能性が高く、PPI等の内服薬を積極的に行う必要があることが判明した。 また、CYP2C9の遺伝子多型との関連では、15例中2例にCYP2C9 *1/*3を認め、CYP2C9 *1/*3例は、AUC0-2 はいずれも5.8(Δ‰・hr)未満であり、また、粘膜傷害も中等症以上であった。しかし、CYP2C9 *1/*1の症例でもAUC0-2 が5.8(Δ‰・hr)未満の症例があり、その場合は、全例でLanza Scoreは3以上であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、平成26年度に決定した13C-Naproxen(NPX)呼気試験における至適13C-NPX投与量、至適呼気採取ポイントに基づき、ボランティアでのNSAID内服時の胃粘膜傷害との相関を検討することができた。我々の予想どおり、13C-NPX呼気試験は、NSAID内服時の血中のPGE2の減少率と相関し、本試験が、NSAID起因性のPGE2減少に伴う副作用等の予測マーカーとなる可能性が示唆された。研究は予定どおりに進んでいると考えられる。 28年度は、健常ボランティアでの前向き試験の検討(急性期試験)を開始している。内視鏡検査にて異常を認めないH. pylori陰性のボランティアを3群にわけ、Naproxen 100 mg1日3回投与のみを行うNSAID単独投与群、Naproxen 100 mg 1日3回投与にLansoprazole 15 mgを併用するNSAID + PPI内服群、そして、13C-Naproxenにてリスク評価を行い、高リスク群のみにLansoprazole 15 mgを併用した個別化療法群の3群を設定し、内服3日目の胃粘膜傷害を内視鏡的に評価し、個別化療法群がNSAID+PPI内服群に対して非劣性、NSAID単独内服群に比して有意に粘膜傷害が軽微であることかの試験をすでに開始している。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、健常ボランティアでの前向き試験の検討(急性期試験)を開始している。内視鏡検査にて異常を認めないH. pylori陰性のボランティアを3群にわけ、Naproxen 100 mg1日3回投与のみを行うNSAID単独投与群、Naproxen 100 mg 1日3回投与にLansoprazole 15 mgを併用するNSAID + PPI内服群、そして、13C-Naproxenにてリスク評価を行い、高リスク群のみにLansoprazole 15 mgを併用した個別化療法群の3群を設定し、内服3日目の胃粘膜傷害を内視鏡的に評価し、個別化療法群がNSAID+PPI内服群に対して非劣性、NSAID単独内服群に比して有意に粘膜傷害が軽微であることかの試験を行っている。また、事前の内視鏡検査にて異常を認めないH. pylori陰性でNSAIDを長期に内服する患者に対して、無作為に2群にわけ、NSAID内服に際してEsomeprazole 20 mgを併用するNSAID + PPI併用群、そして、13C-Naproxenにてリスク評価を行い、高リスク群のみにEsomeprazole 20 mgを併用した個別化療法群の2群を設定し、内服開始6ヶ月、1年後、および必要に応じて内視鏡検査を行い、個別化療法群がNSAID+PPI併用群に対して非劣性であることかを検証する。整形外科や膠原病内科の協力を得て症例をエントリーしていく予定である。
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