研究課題
我々は、食道扁平上皮が酸・胆汁酸による刺激を受けてバレット食道を形成する過程には、Cdx2およびNotchシグナルの相互作用が重要な役割を果たすことを示してきた。しかし、バレット食道が癌化する過程における両シグナルの作用については明らかではない。本研究では、バレット食道を背景とする腺癌の発生におけるNotchシグナルとCdx2の関連について評価し、発癌・進展に関わるNotchシグナルの役割について検討しており、今年度は以下の結果を得た。①バレット食道・バレット腺癌組織における上皮間葉移行(EMT)関連因子の発現バレット腺癌組織においては、E-cadherinの発現低下およびEMT関連因子であるSlail2の発現亢進が認められ、転移・進行例でその傾向は顕著であった。また、これらの発現とHes-1の発現亢進と関連性が見られた。②バレット食道細胞株(CP-A)およびバレット腺癌細胞株(OE-19、OE-33)におけるEMT関連因子の発現変化Hes-1の発現亢進している腺癌細胞株では、バレット食道株に比べて、Snailを始めとするEMT関連因子の発現亢進が見られたが、Notchシグナル阻害薬であるDAPTの添加、およびHes-1 siRNA導入によってその発現は低下した。また、バレット食道細胞株にリコンビナントNotchリガンド(Jagged-1)を加えても、EMT関連因子の変化は大きくなかったが、Notch IC domainのtransfectionによって、Notchシグナルを強制的に亢進させると、Hes-1の発現亢進とともに、EMT関連因子の発現亢進を認めた。これらの結果から、バレット食道の状態では、Cdx2の発現によってHes-1は抑制的に調節されているが、発癌の過程においては、Hes-1の発現亢が重要な役割を果たしていることが示された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件)
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