研究課題/領域番号 |
26460938
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
西川 潤 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (00379950)
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研究分担者 |
末広 寛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40290978)
小賀 厚徳 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90243633)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胃癌 / Epstein-Barr virus / 脱メチル化剤 |
研究実績の概要 |
EBV陽性胃癌細胞株、SNU719、NCC-24とEBV陰性胃癌細胞株KATOIIIを5-Aza-2′-deoxycytidine (AZA)で処理し、細胞増殖、アポトーシスの誘導について検討を行った。細胞増殖曲線とMTT assayで生細胞を評価し、AZA添加培地で培養したSNU719、NCC-24は AZA非添加培地で培養した場合と比較し、72時間以降に有意に腫瘍増殖抑制効果が認められた。AZA添加培地で培養したKATOIIIにおいても、AZA非添加培地で培養したKATOIIIと比較し、有意な腫瘍増殖抑制効果が認められた。Flow cytometerを用いたCell cycle analysisの結果、AZA添加培地で培養したSNU719、NCC-24においては,G2/M arrestが認められ、Annexin V-FITC (+)のApoptosis cellの割合が増加した。一方、AZA添加培地で培養したKATOIIIにおいては,G2/M arrestが誘導されたが、Apoptosisは誘導されなかった。AZA非添加培地で培養したSNU719とKATOIIIは、ともに胃癌細胞株でありながら,血球系細胞様に球形で増殖する。AZA添加培地で培養したSNU719は上皮細胞株のようにmonolayerを形成し、EMTが抑制されていると考えられた。一方、AZA添加培地で培養したKATOIIIは上皮細胞様へ形態変化しなかった.AZA添加培地で培養したSNU719でのみ、E-cadherinの発現が上昇し,N-cadherinの発現が減少し、EMT抑制されていた。 脱メチル化作用のあるスルピリドやヒストン修飾作用のあるバルプロ酸をEBV陽性細胞株に添加したが、単独での増殖抑制効果は弱かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画どおりに検討は進んでいる。EBV陽性胃癌細胞株が新たに入手可能であったため、EBV陽性細胞株2株と陰性コントロールの比較が可能となった。EBV陽性、陰性細胞株ともに細胞増殖は抑制されたものの、アポトーシスの誘導は、EBV陽性細胞株で顕著であり、癌細胞に感染しているEBVの影響が考えられる。その他の薬剤、スルピリドとバルプロ酸の抗腫瘍効果についても検討がすでに終了した。
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今後の研究の推進方策 |
脱メチル化剤のEBV陽性胃癌に対する抗腫瘍効果について、引き続き検討する。EBV陰性細胞株との反応性の違いや反応性の違いが生じる機序についての検討を加えていきたい。EBV陽性細胞株においては、脱メチル化剤投与により、アポトーシスが起こり、EMTが抑制されるので、これらに関連した遺伝子の発現の変化を検討する。また、EBV潜伏感染遺伝子の発現の変化が脱メチル化剤により誘導されていないか、も追加で検討を行う予定である。 臨床応用を念頭において、化学療法の適応となるStageⅣのEBV陽性胃癌患者の予後調査を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、細胞培養などを中心とした高額な試薬を必要としない実験が多かったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、遺伝子解析など高額な試薬を必要とする実験が多く予定されている。
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