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2014 年度 実施状況報告書

H. pylori除菌後胃癌の網羅的遺伝子解析による胃癌危険因子の特定

研究課題

研究課題/領域番号 26460942
研究機関大分大学

研究代表者

兒玉 雅明  大分大学, 保健管理センター, 講師 (20332893)

研究分担者 村上 和成  大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
沖本 忠義  大分大学, 医学部, 助教 (90381037)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードH. pylori / H. pylori除菌後胃癌 / 次世代シーケンサー / TP53 / 萎縮性胃炎
研究実績の概要

【目的】H. pylori(HP)除菌による胃癌抑制効果が世界的コンセンサスを得ようとしている。しかし胃癌が完全に抑制されることはなく、除菌後胃癌への対策が急務と考えられる。今回次世代シーケンサーを用いたHP除菌後胃癌およびHP除菌不成功でHP陽性胃癌の網羅的遺伝子解析を行い、除菌後胃癌発症に関わる癌遺伝子特定と除菌後胃癌危険因子の解析を目的とした。【検体と方法】大分大学医学部附属病院で内視鏡的切除を受けた除菌後胃癌5例(平均年齢65.0歳、男性4名女性1名)、HP陽性胃癌5例(平均年齢72.8歳、男性4名女性1名)を対象とした。パラフィンブロックよりDNAを抽出し、各症例において次世代シーケンサーIon torent を用い、パネルとしてIon AmpliSeq Cancer Panel (Life technologies)を用いて50種類の癌関連遺伝子のDNA変異解析を行った。
【結果】解析50遺伝子中HP陽性胃癌23,除菌後胃癌に16の変異を認めた。HP陽性胃癌のみに変異がみられた遺伝子は9個、除菌後胃癌のみは2個みられたがいずれも1例のみであった。STK11, TP53, FGFR3, PDGFRA, KDR, APC, CSF1R, FLT3はほぼ全ての例に変異が見られ特にTP53では最も多い変異を認めた。Hotspotの変異はHP陽性胃癌は10遺伝子17か所、除菌後胃癌は1か所のみであった。TP53は除菌後胃癌5例中10か所とHP陽性胃癌より多数のhotspot変異を認めた。PDGFRAはHP陽性胃癌5例すべてにhotspot変異を認めたが除菌後胃癌では認めなかった。
【結論】TP53をはじめ複数の癌関連遺伝子変異を認め、hotspotの変異はやや除菌後胃癌に少ない傾向にあったが、TP53では多数の変異がみられた。より多数例の解析により除菌後胃癌の標的遺伝子の追求となる可能性が示唆された。今後はより多数の症例集積、また遺伝子変異の集中しているTP53において慢性胃炎組織での除菌後変化をみることにより除菌後胃癌抑制のターゲットを絞る可能性を検討していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在まで除菌後胃癌および除菌不成功例におけるH. pylori陽性胃癌の次世代シーケンサーによるがん関連遺伝子解析を行った。TP53はじめいくつかのhotspot変異の集積を確認できた。概ね順調に進行しているが、症例がまだやや少なめであること、また除菌前後で採取されている非癌部胃粘膜組織での解析を絞られた遺伝子ターゲットにそって行う必要がある。

今後の研究の推進方策

現在までの研究で、除菌後胃癌、除菌不成功例におけるH. pylori陽性胃癌での次世代シーケンサー解析により、遺伝子変異が特に集積している部位がある程度特定されてきた。今後は解析症例を増やすとともに、除菌前後において採取している非癌部胃粘膜組織、慢性胃炎組織を用いて同ターゲット遺伝子での変異、および除菌経過中でのこれらの変化を追跡することにより、胃癌予防・早期発見のために必要なターゲット遺伝子変異の特定をはかる予定である。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Endoscopic atrophic classification before and after H. pylori eradication is closely associated with histological atrophy and intestinal metaplasia.2015

    • 著者名/発表者名
      Kodama M, Okimoto T, Ogawa R, Mizukami K, Murakami K.
    • 雑誌名

      Endoscopy International Open

      巻: 3 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Helicobacter pylori除菌後異時癌の臨床病理学的特徴2015

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明*、沖本忠義、村上和成
    • 雑誌名

      Helicobacter Research

      巻: 19 ページ: 50-56

  • [雑誌論文] H. pylori除菌後発見胃癌の予測因子と対策2015

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、小川 竜、岡本和久、水上一弘、村上和成
    • 雑誌名

      消化器の臨床

      巻: 18 ページ: 190-196

  • [雑誌論文] Helicobacter pylori除菌時期と適応2015

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、村上和成
    • 雑誌名

      Helicobacter Research

      巻: 19 ページ: -

  • [雑誌論文] 「H. pylori感染胃炎の診断と治療」胃炎の改善と除菌後胃癌2015

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、村上和成
    • 雑誌名

      日本消化器病学会雑誌

      巻: 112 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 胃癌とヘリコバクターピロリ2015

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、村上和成
    • 雑誌名

      臨床消化器内科

      巻: 30 ページ: -

  • [雑誌論文] 特集:早期胃癌を視る、観る、診る Helicobacter pylori除菌後の注意すべき胃粘膜.2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、阿部寿徳、小川 竜、水上一弘、岡本和久、相馬 渉、有田桂子、有田 毅、村上和成.
    • 雑誌名

      消化器内視鏡

      巻: 26 ページ: 1140-7

  • [雑誌論文] 胃炎診療は変化したか?2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、村上和成.
    • 雑誌名

      Helicobacter Research

      巻: 18 ページ: 320-325

  • [雑誌論文] Helicobacter pylori除菌治療クエスチョン&アドバイス -専門医に聞くH. pylori除菌診療のポイント- 現在一次、二次除菌療法以外にどのような治療法がありますか?2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、村上和成.
    • 雑誌名

      Helicobacter Research

      巻: 18 ページ: 287-290

  • [雑誌論文] H. pylori除菌療法による短期・長期的副作用とその対策2014

    • 著者名/発表者名
      沖本忠義、兒玉雅明、村上和成
    • 雑誌名

      臨床消化器内科

      巻: 29 ページ: 295-303

  • [雑誌論文] 薬剤耐性菌と三次除菌2014

    • 著者名/発表者名
      沖本忠義、兒玉雅明、村上和成
    • 雑誌名

      Helicobacter Research

      巻: 18 ページ: 153-157

  • [雑誌論文] Helicobacter pylori除菌時点における除菌後発見胃癌予測因子2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、阿部寿徳、小川 竜、有田 毅、村上和成.
    • 雑誌名

      Helicobacter Research

      巻: 18 ページ: 391-395

  • [学会発表] OLGA およびOLGIM systemによるH. pylori除菌後胃癌予測への有用性検討2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、小川 竜、水上一弘、阿部寿徳、有田 毅、村上和成
    • 学会等名
      第56回日本消化器病学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-10-23 – 2014-10-26
  • [学会発表] H. pylori陽性胃癌との比較による除菌後発見胃癌の形態学的および細胞動態的際の検討2014

    • 著者名/発表者名
      小川 竜、兒玉雅明、沖本忠義、阿部寿徳、有田 毅、村上和成.
    • 学会等名
      第20回日本ヘリコバクター学会学術集会
    • 発表場所
      東京ステーションコンファレンス(東京都)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-29
  • [学会発表] Helicobacter pylori除菌成功後の再出現例に対する検討2014

    • 著者名/発表者名
      沖本忠義、兒玉雅明、小川 竜、岡本和久、村上和成
    • 学会等名
      第20回日本ヘリコバクター学会学術集会
    • 発表場所
      東京ステーションコンファレンス(東京都)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-29
  • [学会発表] Helicobacter pylori 除菌前胃癌と除菌後発見胃癌の形態学的および細胞動態的差異の検討.2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、村上和成
    • 学会等名
      第87回日本消化器内視鏡学会総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2014-05-15 – 2014-05-17
  • [学会発表] Operative Link for Gastritis Assessment (OLGA) systemを用いた Helicobacter pylori 除菌後発見胃癌と慢性炎症の関連2014

    • 著者名/発表者名
      兒玉雅明、沖本忠義、村上和成
    • 学会等名
      第100回日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京都)
    • 年月日
      2014-04-23 – 2014-04-26
  • [図書] 臨床研究におけるH. pylori除菌効果と胃癌発生抑制効果. 胃癌リスクファクターとリスク診断 –とくにABC検診の現状と問題点の正しい理解のために-2014

    • 著者名/発表者名
      沖本忠義、兒玉雅明、村上和成
    • 総ページ数
      ‐
    • 出版者
      日本メディカルセンター

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公開日: 2016-05-27  

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