研究実績の概要 |
BH3プロファイリング法を用いて胃癌における抗癌剤の感受性を予測できるかどうか検討することが本研究の目的である.当該年度においてはまず7種類の胃癌細胞株におけるDocetaxel, CDDP, 5-FUの抗癌剤感受性試験を行った.具体的には各々の抗癌剤における50%阻害濃度の算定と,アポトーシスの評価をAnnexin Vと7-AAD染色によるフローサイトメトリーで測定した.さらにBCL-2, BCL-W, BCL-XL, MCL-1, Bim, BAK, BAXといったアポトーシス関連蛋白発現量をウエスタンブロッティング法で検討した.次に同胃癌細胞株での7つのBH3ペプチド暴露時におけるミトコンドリア膜電位変化をTMREで染色してフローサイトメトリーで測定した.DMSOを陰性コントロール,FCCPを陽性コントロールとしてBH3プロファイリングを行なった.BH3ペプチドとしては,Bim, Bid, Bad, Noxa, Puma, Bmf, Hrkと,2つのアミノ酸を置換したPuma2Aを用いた.得られた結果が抗癌剤の感受性やアポトーシス関連蛋白発現と相関があるか統計学的に解析した.その結果,Docetaxelによる感受性とBH3 profilingとの相関,及びアポトーシス関連蛋白発現との相関を認めた.以上よりBH3プロファイリングは胃癌におけるDocetaxel感受性を予測しうる可能性が示唆された.
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