研究課題/領域番号 |
26460947
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40381785)
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研究分担者 |
矢野 重信 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (60011186)
鈴木 周五 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60363933)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光線力学療法 / マンノース受容体 / 腫瘍会合性マクロファージ / M2様マクロファージ |
研究実績の概要 |
マンノース連結クロリン(M-クロリン)は,癌細胞およびM2様マクロファージにマンノース受容体依存的に取り込まれ,660nmの赤色可視光線照射により殺細胞効果が得られた.THP1細胞にサイトカインを投与することによりM2様マクロファージ細胞を誘導した.この細胞にはマンノース受容体の発現が誘導されていた.M-クロリンPDTにより強力な殺細胞効果が得られた. マウス由来の大腸癌細胞株CT26細胞をBalb/cマウスの皮下に移植しallograftモデルを作成した.このallograftモデルにM-クロリンを腹腔内投与し4時間後に腫瘍に660nmの赤色可視光線照射し,腫瘍縮小効果を検討したところ,クロリン単剤,グルコース連結クロリン(G-クロリン)よりも強力な殺細胞効果が得られた. Allograftモデル皮下移植腫瘍組織内の腫瘍間質の腫瘍会合性マクロファージ(tumor associated macrophage: TAM) を抗CD206抗体を使用し免疫組織学的に検討したところ,M-クロリンPDT群では有意にTAMが減少していた. 以上のことから,M-クロリンPDTは癌細胞および癌組織間質に存在するTAMにマンノース受容体を介して集積し,660nmの赤色光線照射により強力な殺細胞効果が認められた.Allograftモデルでは,M-クロリンPDTはこれまでの糖鎖連結クロリンPDTの中で最強の抗腫瘍効果を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
in vitroの実験ともに,in vivoのallograftモデルのデータも得ることができた.今年は,腹膜播種モデルによるM-クロリンPDTによる抗腫瘍効果の検討を予定している.
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今後の研究の推進方策 |
腹膜播種モデルによるM-クロリンPDTによる抗腫瘍効果の検討. M-クロリンの強力な抗腫瘍効果のメカニズムの検討. より強力な新規糖鎖連結クロリンの開発合成とその殺細胞効果の検討.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の矢野の購入予定の消耗品の購入が遅れ,30万円の分担金のうち43,525円の未使用金が発生したため.
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次年度使用額の使用計画 |
本研究に沿った消耗品,旅費等に使用予定.
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