研究課題
新規光感受性物質であるマンノース連結クロリンを用いた光線力学療法(Photodynamic therapy: PDT)のマウス大腸癌細胞株であるCT26細胞に対するin vitroおよびallograftモデルにおけるin vivoでの,直接の癌細胞に対する殺細胞効果(PDT効果),および腫瘍間質の腫瘍会合性マクロファージに対する殺細胞効果(PDT効果)を証明した(Mol.Cancer. Therapeutics, 2015).このマンノース連結クロリンは水溶性に難があり,今後の臨床応用を考慮した場合,水溶性の向上が望まれる.この目的を達成するために,さらに新しいグルコース,マンノース連結クロリンを共同研究者と開発中である.これまでのところ,in vitroでは,照射光線波長650nm前後で,これまでのものよりも優れたPDT効果を発揮する候補物質が得られ初めている.癌細胞内への集積性の検討,共焦点レーザー顕微鏡を使用した細胞内局在の検討,活性酸素惹起能の検討(特に一重項酸素の惹起能の検討),さらには,胃癌細胞株(MKN45),大腸癌細胞株(HT29)などを使用したxenograftモデル,マウス大腸癌細胞株CT26を用いたallograftモデルでの検討を進行中である.これまでのところ水溶性を向上させたオリゴ糖連結クロリンは,課題であった水溶性も克服し,臨床応用に一番近い成績を得ている.
2: おおむね順調に進展している
初代のマンノース連結クロリンを用いた光線力学療法(Photodynamic therapy: PDT)のin vitroおよびin vivoのデータを得て,諸学会で発表,英文誌で発表した(MOl. Cancer Therapeutics, 2015).さらに現在,臨床応用に向けて,光感受性物質の水溶性を向上させた新しい物質を開発合成および,その基礎的研究を進行中である.
1.臨床応用に向けて,課題である水溶性を克服した新規光感受性物質の開発を推進する.2.候補化合物につき,順次,胃癌,大腸癌,食道癌細胞株に対するin vitroでの抗腫瘍効果(PDT効果),共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞内局在の検討,活性酸素の惹起能の検討などを行い,順次in vivoでの検討を行い,臨床応用可能な腫瘍選択性,特異性の高い新規光線力学療法の開発を目指す.
2015年度は新規光感受性物質の合成開発に主力をおいたため,in vitro,in vivoアッセイが少なかったため.
新規に開発された候補物質のin vitro及びin vivoでも抗腫瘍効果,腫瘍細胞特異性,選択性につき検討する.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
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