研究課題
申請者らはこれまで研究成果を踏まえ,臨床応用を目指しこれまで課題であった光感受性物質の水溶性を向上させる目的で,クロリンの側鎖に3つの糖(マルトトリオース)を連結したオリゴ糖連結クロリンを開発した.このオリゴ糖クロリンはこれまでのグルコース連結クロリン,マンノース連結クロリンに比べ,優れた水溶性を発揮した.このオリゴ糖連結クロリンを取り込んだ腫瘍細胞に405nmから420nmの紫色の短波長光線を照射すると,赤色蛍光を発し,いわゆる光線力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)にも応用可能と考えられた.現在PDDに使用されている5-ALAと比較しても優れたPDD効果を示した(約7倍から23倍).共焦点レーザー顕微鏡による細胞内局在の検討ではオリゴ糖クロリンは,lysosomeに局在する傾向が見られた.PDD効果は405nmの照射で650nmの赤色蛍光をdetectする組み合わせが最適のPDD効果を示した.In vitroにおける食道癌,胃癌,大腸癌細胞株に対するPDT効果も強力で,Talaporfinに比べ9.1倍から52.7倍の殺細胞効果を示した.胃癌細胞株MKN45細胞をヌードマウスの皮下に移植したXenograftモデルでの検討では,Talaporfinよりも有意に強力な抗腫瘍効果を発揮した.以上の結果から,オリゴ糖連結クロリンはPDDとPDT両者に有用な薬剤と考えられた.上記の成果はOncotarget誌2016年にpublishし,平成28年度の日本レーザー医学会賞を受賞した.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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