研究課題/領域番号 |
26460951
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
菊池 由宣 東邦大学, 医学部, 講師 (20408769)
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研究分担者 |
島田 英昭 東邦大学, 医学部, 教授 (20292691)
五十嵐 良典 東邦大学, 医学部, 教授 (50212741)
名波 竜規 東邦大学, 医学部, 助教 (90385831)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胃癌 / 化学療法 / TYMP / 血管新生因子 / 血清マーカー / 治療効果予測 / ELISA / 多施設研究 |
研究実績の概要 |
切除不能進行・再発胃癌に対する標準治療は、国内ではTS-1+CDDP(SP)療法であり、海外ではカペシタビン+CDDP(XP)療法である。カペシタビンの標的酵素であるThymidine phosphorylase (TYMP)の腫瘍内の発現レベルが高いと化学療法抵抗性であることが多いが、TYMP活性の高い腫瘍に対してはXP療法がSP療法よりも有効である可能性がある。本研究では、胃癌症例を対象として血清TYMP値とXP療法の有効性との関連性を解析し、血清TYMP値によるXP治療の効果予測・治療モニタリングを行うことを目的とする。患者同意済みにて保存してある血清ならびに手術標本を用いて、血清TYMP値と癌組織TYMP値発現レベルとの相関関係を検討した。前向き試験として進行再発胃癌患者のXP療法の効果と血清値との相関を検討する(目標症例数は70例)。試験計画を倫理委員会へ申請して承認を得た。多施設での倫理手続きを終了した。順次、症例登録を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切除不能進行・再発胃癌に対する標準治療は、国内ではTS-1+CDDP(SP)療法であり、海外ではカペシタビン+CDDP(XP)療法である。カペシタビンの標的酵素であるThymidine phosphorylase (TYMP)は、血管新生因子のひとつ であり、腫瘍の悪性度と相関すると考えられる。一方、TYMP発現レベルが高い腫瘍では、カペシタビンが活性化されるため治療効果が高いと予想され、TYMP活性の高い腫瘍に対してはXP療法がSP療法よりも有効である可能性がある。本研究では、胃癌症例を対象として血清TYMP値とXP療法の有効性との関連性を解析し、血清TYMP値によるXP治療の効果予測・治療モニタリングを行うことを目的とする。まずはじめに、患者同意済みにて保存してある血清ならびに手術標本を用いて、血清TYMP値と癌組織TYMP値発現レベルとの相関関係を検討した。次に、前向き試験として進行再発胃癌患者のXP療法の効果と血清値との相関を検討する(目標症例数は70例)臨床試験計画を立案した。今年度は、試験計画を倫理委員会へ申請して承認を得た。現在、多施設共同研究として、他施設での倫理手続きを行っており、順次、症例登録を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
USCN Life Science社製の血中TYMP測定用ELISA kit(cat#E90948HU)を用いて同意取得ずみの胃癌100例の凍結保存血液サンプルを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
同時に血清を解析する手法を簡略化して、1回のアッセイあたりのコストを削減した結果、1サンプルあたりの経費を節減することができた。臨床病理学的因子との相関関係の解析には、より多くのサンプルを解析することが重要であるため、計画していたサンプル数よりも多くのサンプルを次年度に解析することとした。現在、計画以上のペースでサンプルを収集することができているため、若干の研究経費を次年度へ繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
1年目研究費の残額を含めて2年目は解析対象症例を増やす予定である。同時に切除標本の免疫染色との関連性を検討する。同意取得すみの血清サンプルは、胃癌患者100名程度をデータベース化している。また、文書により了解を得た健常者の血清をコントロールとして用いる。リンパ節転移あるいは再発形式などの詳細な臨床病理学的因子との相関関係を検討する予定である。また、抗癌剤治療に対する治療効果との関連性についても解析する予定である。
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