研究実績の概要 |
米国バレット腺癌患者7例(long segmented BE (LSBE) 3例, short segmented BE (SSBE) 4例)の癌部およびバレット上皮(BE)部さらに対照群15例(LSBE7例, SSBE 6例)より得られたBEブラッシングサンプルから抽出したRNAをマイクロアレイにて網羅的に解析した。バレット腺癌患者のBE、あるいはLSBEで高発現あるいは低発現している遺伝子を抽出し、有意差が認められた遺伝子についてバレット腺癌患者23例(long segmented BE (LSBE) 9例, short segmented BE (SSBE) 14例)の癌部およびバレット上皮(BE)部さらに対照群35例(LSBE 12例, SSBE 23例)の検体を用いてその発現量を比較検討した。バレット腺癌患者のBE上皮において対照群と比較してPDZK1 (0.0100 vs. 0.0055, p=0.037) とSERPINB7 (0.0032 vs. 0.0017, p=0.009) は有意に高発現しMRC1 (p=0.015) と MMP3 (p=0.007) 低発現であった。またLSBEにおいてSSSBEと比較してPCK1 (0.029 vs. 0.014, p=0.044), PDZK1 (0.011 vs. 0.0056, p=0.024), SERPINB7 (0.0037 vs. 0.0017, p=0.016) は高発現, BASP1 (p=0.015), SCNN1B ( p=0.001), MMP12 ( p=0.038) は低発現であった。PDKZ1 と SERPINB7遺伝子が、バレット腺癌のBEやLSBEの患者で有意に高発現しリスクマーカーとなりうる可能性が示唆された。本結果を、2016年米国消化器病学会週間(DDW2016)にて発表予定で現在、論文を投稿中である。
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