研究実績の概要 |
125例の進行再発大腸癌において、CACNA1G, IGF2, NEUROG, RUNX3, SOCS1の5つの部位のメチル化特異的PCR法によりCpGアイランドメチル化表現型(CIMP)の有無を評価し、EGFR関連遺伝子(KRAS, BRAF, PIK3CA, NRASおよびAKT1)に関してホットスポットの変異解析を行った。これらのエピジェネティック、ジェネティックな腫瘍の特徴と標準的がん薬物療法の治療成績との相関を後方視的に解析した。CIMP陽性の大腸癌は21.6%であり、CIMP陽性例では右半結腸原発が51.9%とCIMP陰性の28.9%に比し高率であるという特徴はこれまでの報告と一致していた。また、CIMP陽性例ではBRAF変異が18.5%とCIMP陰性例の0%に比して明らかに高率であり、EGFR関連5遺伝子全体の変異率はCIMP陽性例で74%、CIMP陰性例で48%とCIMP陽性例にはEGFR関連に遺伝子変異が高い傾向を認めた。CIMP陽性例、陰性例では1次治療においてオキサリプラチンを含む化学療法を行った症例がそれぞれ10例、60例、イリノテカンを含む化学療法を行った症例がそれぞれ14例、24例であった。CIMP陽性例のオキサリプラチンを含む治療の無増悪生存期間中央値は4.5ヶ月、イリノテカンを含む治療の9.4ヶ月に比べて有意に低かったが、CIMP陰性例ではその傾向を認めなかった。
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