研究課題
切除不能進行再発大腸癌の薬物療法における効果予測バイオマーカーの探索では、まず癌を分子生物学的背景に基づいて分類を行い、そのサブグループ内でのマーカー探索を行うこと、すなわち階層的バイオマーカー探索が有用であるいう仮説の下に、マルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブのバイオマーカー探索を目的とした。サブグループとして、CIMPの状態を採用し、それぞれのグループにおけるがん薬物療法の有効性を解析した。125例の進行再発大腸癌に対して、5つの部位を指標としたメチル化特異的PCR法によるCIMP解析を行った。さらに分子標的薬である抗EGFR抗体薬の感受性に関与する5つのEGFR関連遺伝子(KRAS, BRAF, PIK3CA, NRAS及びAKT1)の変異解析を行った。この125例に対しては、1次-2次治療においてオキサリプラチン、イリノテカンを含む療法を行い、2次治療以降で抗EGFR抗体薬を使用した。CIMP陰性例においては、1次治療にオキサリプラチンを含むFOLFOX療法、2次治療にイリノテカンを含む治療(主としてFOLFIRI)に移行した場合すなわちFOLFOX-FOLFIRI順次療法とその逆の順序のFOLFIRI-FOLFOX順次療法では無増悪生存期間(PFS)に有意な差を認めなかった。しかし、CIMP陽性例においては有意にFOLFOX-FOLFIRI順次療法がFOLFIRI-FOLFOX順次療法よりもPFSが短かった。また、2次治療以降の抗EGFR抗体薬に関してはCIMP陽性例のほうがCIMP陰性例よりもPFSが短い傾向があった。本来の目的の3次治療以降でのレゴラフェニブに関しては、3次治療前に治療を脱落する場合が多いこと、レゴラフェニブの有害事象により中止が多発したこと、3次治療以降の選択肢としてトリフルリジン・チピラチルが加わったことなどから、症例数が十分得られなかった。
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