研究実績の概要 |
炎症性腸疾患はその発症に遺伝要因と環境因子が関与する多因子疾患である。その遺伝因子を同定するため本申請者を含む多数の施設からゲノムワイド関連解析(GWAS)が報告され、既にゲノムの163領域に疾患感受性領域が同定されている。しかし相関を示すゲノム変異のほとんどはタンパクをコードしていない領域に存在し、疾患を発症させるメカニズムが未解明のままであり、感受性遺伝子の確定もできていない。本申請者らは疾患感受性領域に存在するゲノム変異が近傍のエピゲノム変化を引き起こし、遺伝子発現に影響を与え、疾患発症を引き起こすと考えた。そこで、①163疾患感受性領域を中心にゲノム変異特異的(アリル特異的)にエピゲノム変化(主にDNAメチレーション)が認められるかどうか、②ゲノム変異特異的(アリル特異的)に近傍遺伝子発現変化を認めるかどうか、③ゲノム変異特異的エピゲノム変化が発現に影響を与えるかプロモーターアッセイにて確認することを目的とした。遺伝子解析を含む研究に同意を文書で取得した活動期クローン病 12例、活動期潰瘍性大腸炎5例から細胞を採取し、さらに詳細に分画した(CD4 memory T cell, CD4 naive T cell, monocyte/macrophage,およびLPMCから調製したmyeloid and plasmacytoid dendritic cell).その後、DNA,RNAを調製し保存した。そのサンプルを用いて、現在アリル特異的メチル化部位を検索中である.
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