研究実績の概要 |
炎症性腸疾患はその発症に遺伝要因と環境要因が関与する多因子疾患である。その遺伝因子を同定するために本申請者を含む多数の施設からゲノムワイド関連解析が報告され、既にゲノムの200領域に疾患感受性領域が同定されている。しかし相関を示すゲノム変異のほとんどはタンパクをコードしていない領域に存在し、疾患を発症させるメカニズムが未解明のままであり、感受性遺伝子の確定もできていない。本申請者らは疾患感受性領域に存在するゲノム変異が近傍のエピゲノム変化を引き起こし、遺伝子発現に影響を与え疾患発症を引き起こすと考えた。そこで200疾患感受性領域を中心にゲノム変異特異的(アリル特異的)にエピゲノム変化(主にDNAメチレーション)が認められるかどうか、②ゲノム変異特異的(アリル特異的)に近傍遺伝子発現変化を認めるかどうか、活動期クローン病10例、活動期潰瘍性大腸炎5例からLPMCを分取し、さらにCD4 memory T cellまで分画後にRNA, DNAを精製し検討した。アリル特異的メチル化の同定は、メチル化感受性制限酵素とジャポニカアレイを用いてヘテロ接合のSNPを利用して同定した。最終的に223個のSNP近傍にあるアリル特異的メチル化を同定した。既知のimprinting領域を除外すると、218領域が残り、現在同定されている200のIBD疾患感受性SNPの周辺にあたるものはrs36221701(平均RAS 0.14)、rs1130368(平均RAS 0.23)の2か所であった。発現の情報を合わせて解析をし、成果発表をする予定である。
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