大腸癌発生に関連すると報告されているコリバクチン陽性大腸菌について、本邦における保菌率や特徴について検討した。大腸癌症例のコリバクチン陽性率は43%、コントロールでは46%であり頻度、相対濃度に差を認めなかった。コリバクチン陽性患者の大腸癌ではk-ras遺伝子変異例が認められたのに対し、コリバクチン陰性患者ではk-ras遺伝子は全例野生型であった。ほか、局在、進行度、カプセル内視鏡所見などの臨床像には有意な差を認めなかった。これらの結果からは海外からの既報と異なり、本邦の大腸癌、とくにk-ras野生型大腸癌の発生にはコリバクチン陽性大腸菌感染以外のメカニズムが重要である可能性が考えられた。
|