研究課題/領域番号 |
26460964
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堀口 里美 福井大学, 医学部, 学術研究員 (00595283)
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研究分担者 |
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 准教授 (20377451)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 消化管運動 / カハール介在細胞 / 発現解析 / マウス |
研究実績の概要 |
腸炎は消化管粘膜に炎症が生じた状態であり、重症化すると運動機能障害が生じるが、そのメカニズムは現在不明である。本研究の目的は、腸炎疾患の回復期における消化管運動調節性細胞(カハール介在細胞;ICC)の再生に関わる増殖・転写因子の作用機序の解明である。本研究には、炎症性腸疾患モデルとしてTNBS投与マウスを用いる。まず、前段階としてTNBS投与マウスの炎症期および回復期におけるICCの分布を調べ、さらに増殖マーカーであるKi67を用いて回復過程における筋層での細胞増殖とICCの関係について検討した。TNBS投与1日目の筋層において、コントロール群と比較してKIT発現の減少が観察され、一方、Ki67陽性反応は筋層内にはほとんど観察されなかった。TNBS投与2-3日目では、筋層内のKIT発現細胞は減少したままであった。また、筋層内にはKi67陽性反応が出現したが、これは主に漿膜下に認められ、KIT発現細胞とは一致しなかった。TNBS投与4-6日において、筋層におけるKIT発現が徐々に回復する様子が観察された。さらにこの時期では、筋層内にKi67陽性反応が観察され、その一部にはKIT陽性細胞に相当する像が確認できた。詳細に観察すると、輪走筋最内層のKIT発現が早期に回復し、筋層間や各筋層内のKIT発現の回復は遅れる傾向が見られた。TNBS投与7日目では筋層内のKIT発現がコントロール群と近いレベルにまで回復していることが確認された。また、今回の観察では、TNBS7日目では筋層内にKi67陽性反応はほとんど観察されなかった。上記の結果から、TNBS投与後のICCの回復の少なくとも一部は細胞増殖によるものであり、その時期はTNBS投与4-6日目であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で行う予定の実験手法の一つに、セルソーターを用いての標的細胞分取があるが、本研究の標的細胞であるICCは消化管筋層において、1-2%という微量の割合で存在しており、多数の個体数を必要とするため、TNBS炎症期と回復期におけるKIT発現細胞の動態を検討する必要があった。当初、本年度中にTNBS投与マウスからのKIT陽性細胞の分取を開始する予定であったため、研究は若干遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の結果をもとに、TNBS投与マウスの炎症期および回復期におけるICCの単離を27年度の早期に完了させ、網羅的遺伝子解析を実施する。具体的には単離ICCより抽出したmRNAよりcDNAを合成後、サブトラクティブ・ハイブリダイゼイション法により、正常マウスのICCからのmRNAとの差次的遺伝子ライブラリーを作製し、マイクロアレイ化を行う。更に、上記2種類のcDNAから作製したプローブを用いて、炎症期から回復期で発現変化する遺伝子のスクリーニングを行ない、特異的遺伝子を特定する。また、同時にマイクロアレイを行って網羅的遺伝子発現解析を実施する。得られた遺伝子のうち、発現変化量の多い遺伝子について、シーケンスにより塩基配列を解読し、BLAST searchを用いて相同性検索を行うことで対象遺伝子の同定を行う。この解析については研究代表者、分担者ともに別の実験系で実施実績があり、問題なく進行すると思われる。その結果得られた遺伝子について、免疫染色法あるいはin situ hybridization法と定量PCR法により検定する。以上の実験から得られた候補遺伝子のうち、ICCやSMCの障害・再構築、あるいは病態時および回復期における両者の相互作用に関与する可能性が高いものについて機能解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
達成度の項目に示したとおり、細胞単離が完了しなかったため、予定していた解析依頼が初年度終了時点では行えなかったことにより次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞単離を完了し、27年度の早い時期に解析依頼に出すことで使用する。
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