本研究では、消化管運動の調節性細胞であるカハール介在細胞(ICC)の、トリニトロベンゼンスルホン酸誘起腸炎疾患モデルマウスの病態時における遺伝子発現について解析した。TNBS腸炎の炎症回復過程における筋層の組織修復には平滑筋細胞など種々の細胞の増殖が関与、具体的には、炎症によるカハール介在細胞ネットワークの破綻からの回復の一部は、同細胞の増殖によることが示唆された。また網羅的遺伝子解析の結果、細胞増殖因子や転写制御因子など、特に炎症からの回復期のICCにおいて著明に発現量が変化する遺伝子が同定された。これによりICCの障害からの回復に関わる分子機構について新たに示唆することができた。
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