研究課題/領域番号 |
26460965
|
研究機関 | 東京都立駒込病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
大澤 陽介 東京都立駒込病院(臨床研究室), その他部局等, その他 (60447787)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 転移性肝腫瘍 / 酸性スフィンゴミエリナーゼ / Wnt/βカテニンシグナル |
研究実績の概要 |
昨年度の研究において、マウスに高増殖性大腸癌細胞株を門脈内に投与すると肝臓に転移性腫瘍を形成したが、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損マウスに同様の処置を施したところ腫瘍の増殖が促進されることを明らかにした。 そこで本年度は以下の項目について検討した(1)他の悪性腫瘍細胞において、上記と同様の結果が得られるかを検討した。(2)これまでの解析により転移先の実質細胞の酸性スフィンゴミエリナーゼが免疫細胞を介した転移性腫瘍の増殖に関わっている可能性が高い。そこでそれを証明するため、Cre-loxPシステムを用いた細胞特異的酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損マウスを作製する。(3)酸性スフィンゴミエリナーゼ過剰発現では縮小効果が予想され、さらに臨床応用が期待できる。そこで、アデノウイルスベクターを用いた過剰発現法を構築した。(4)原発性肝発癌と転移性肝腫瘍との差異について、特に線維化のメカニズムに着目して検討した。 結果(1)悪性黒色腫細胞においても大腸癌細胞株と同様の結果が得られた(2)flox酸性スフィンゴミエリナーゼマウスは作製が完了し、今後、種々のCre発現マウスと掛け合わせることにより細胞特異的酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損マウスを作製する。(3)酸性スフィンゴミエリナーゼおよびスフィンゴシンキナーゼをアデノウイルスベクターにより過剰発現すると、腫瘍の縮小効果を認めた。(4)原発性肝細胞癌の場合、マクロファージや線維芽細胞の活性化は、腫瘍促進的に作用することが知られている。肝発癌の重要な因子として、Wnt/βカテニンシグナルが重要であることがしられている。そこで、まず、βカテニンシグナルの肝線維化に対する作用を検討したところ、四塩化炭素誘導性肝線維化はCBP/βカテニン阻害剤により抑制された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究は実施できたが、得られた結果からは追加実験や、一部仮説の修正が必要であった。全体としては、研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の実験結果より、肝線維化にbeta-cateninシグナルが関与することが明らかとなった。今後は、線維芽細胞と腫瘍細胞の関連の中で、beta-cateninシグナルとスフィンゴ脂質シグナルがどのように関連しているのかを検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文化にあたり、予定外の実験を施行しなければならず、当該年度に施行予定であった実験の一部を、来年度にもちこすことにしたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度中に施行予定
|