スフィンゴ脂質シグナルは種々の細胞機能に関与している。そこで、大腸がんの肝転移モデルをマウスで作成し、スフィンゴ脂質を調節する酸性スフィンゴミエリナーゼの役割を解析した。酸性スフィンゴミエリナーゼは腫瘍のマクロファージを増加させることにより抗腫瘍効果を示すことを見出した。この効果は、悪性黒色腫の肝転移モデルでも認められた。また、肝臓内のマクロファージは肝線維化や原発性肝細胞癌に対してもβカテニンシグナルを介して重要であることを見出した。スフィンゴ脂質はマクロファージの機能を調節しており、種々の病態の治療標的になりうることが示唆された。
|