われわれはこれまでにインスリン様増殖因子(IGF)に対する中和抗体を用いて、治療標的としての有用性を証明してきた。われわれが使用した中和抗体は生理的な存在様式であるIGF-IGF結合蛋白質複合体には作用せず、腫瘍の微小環境で活性化されたIGFのみを中和し、全身的な副作用の軽減と腫瘍特異的な薬剤送達を期待しうる。抗体の投与量の設定、治療効果・副作用の予測には標的である活性型IGFの測定が不可欠と考え、血中の活性型IGFを評価する新たなアッセイ法を開発した。さらにこの方法を用いてインスリン産生腫瘍以外の腫瘍随伴症候群としての低血糖症においては活性型IGF-2が増加していることを証明した。
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