研究課題/領域番号 |
26460969
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯島 英樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90444520)
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研究分担者 |
辻井 正彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40303937)
新崎 信一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60546860)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腸管粘膜障害 / immunonutrition / CCR7 / 小腸パイエル板 |
研究実績の概要 |
8-10週齢雄性BALB/cマウスに対し、タンパク成分をアミノ酸に置換し、脂肪を制限した成分栄養製剤(エレンタール)およびアルギニン、RNA等を付加した栄養製剤であるインパクトを5日間投与した後、インドメタシンを皮下投与し、5日間、体重の変化を観察した。その後、小腸を摘出し、小腸粘膜傷害について検討を行った。エレンタール、インパクト投与群ともに、体重減少が抑制されるとともに、著明な小腸粘膜傷害の改善が認められた。小腸から単核球を分離し、細胞分画をフローサイトメトリーにて解析したところ、エレンタール群では免疫制御性のCD103陽性樹状細胞の割合に明らかな変化は認めなかったが、インパクト群では通常食群に比して著明なCD103陽性細胞率の増加が認められ、インパクトによる小腸炎抑制に関わっている可能性が示唆された。パイエル板に存在する細菌群について、パイエル板組織をレーザーマイクロダイセクションにより切り出し、メタゲノム解析により検索中である。また、CCR7欠損マウスを本学動物施設に導入し、小腸粘膜傷害の実験準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管栄養剤の投与により、マウスの腸炎の重症度に影響することが確認され、腸管炎症に対する影響についての現象は確認されている。炎症メカニズムの解明も進行中である。パイエル板欠損マウスの実験は、パイエル板非欠損マウスでの検討が済み次第、実験を開始する予定である。CCR7欠損マウスについては、実験に十分なマウスの確保を行うよう繁殖中であり、実験を行う状況が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
栄養製剤による腸管炎症の変化を認めたが、エレンタールとインパクトではCD103陽性細胞への影響が異なり、インパクトに含まれる含有物が炎症抑制に関わっている可能性がある。インパクトにはアルギニンやRNAが含まれ、それらが免疫担当細胞にはたらきかけ炎症を制御する可能性があり、今後の免疫学的解析を進める予定である。 CCR7欠損マウスやパイエル板欠損マウスは実験可能な状況となり、CD103陽性細胞を含めた樹状細胞など免疫担当細胞の食事制御について検討を行っている。
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