研究課題
私共は、腸管における制御性B細胞(Breg)の機能とその破綻による腸管炎症惹起について主に炎症性腸疾患(IBD)モデルマウス(クローン病自然発症モデルSAMP1/Yitマウス、SCIDマウスへのナイーブT細胞移入腸炎モデル)を用いて検討をおこなってきた(Immunology 2010, Inflamm Bowel Dis 2014)。さらに、これらの研究成果に基づいて、生体内でのBregの誘導・活性化機構に興味をいだき、それらの解明がIBDの病態研究と新規治療法につながる可能性を考慮して本科学研究費の申請課題とした。私共のグループは、Bregの研究とは別に、生体内でアポトーシス細胞が処理される過程を研究しており、実際、このシステムが破綻すると炎症性疾患が誘発されることを明らかにしていた(J Immunol 2009)。この研究過程で、アポトーシス細胞によって免疫寛容が誘導されることが想定されたため、アポトーシス細胞が制御性の免疫サブセットを誘導する可能性を想定した。ここでは制御性免疫サブセットとしてBregを選び研究計画を立てた。以上の点に基づいて、生体内でBregを誘導・活性化する方法として、体外で実験的に調整したアポトーシス細胞(胸腺細胞)を経静脈的に移入する手順を考え、同方法でIL-10産生型のBregが誘導されることを目指した。さらに、腸炎モデルに対してアポトーシス細胞を経静脈的に投与することで腸炎が抑制されることを明らかとし、アポトーシス細胞による炎症制御がBregの誘導・活性化を介しているという仮説を立てた。最終的には、生体におけるアポトーシス細胞の認識が、核酸認識Toll様受容体(Toll-like receptor-9; TLR9)である可能性を想定し、TLR9欠損モデルマウスを用いることで、私共の仮説を検証すべく研究を遂行した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
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