研究課題/領域番号 |
26460974
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
庄野 孝 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40632667)
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研究分担者 |
渡邊 丈久 熊本大学, その他の研究科, 助教 (20634843)
直江 秀昭 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30599246)
佐々木 裕 熊本大学, その他の研究科, 教授 (70235282)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸癌 / miRNA / プロテオミクス / SSAP / 内視鏡治療 |
研究実績の概要 |
平成26年度は計画として近位側大腸SSAPの切除組織の採取が必要であったが、計8例のSSAPを内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて切除、採取した。そのうち、研究対象となるがんを含む病変は3病変あった。
この病変について、研究計画では、①正常組織、②SSAP組織、③癌組織からレーザーマイクロダイセクション(LMD)を行いそれぞれの組織からディファレンシャルプロテオーム解析により、①②③それぞれにおいて、タンパク質発現・翻訳後修飾の相違を網羅的に解析する予定である。SSAPから発生する癌(③)の特徴としてこれまでの文献では、遺伝子のBRAF変異、CIMP high, MSIが特徴的であることが示されている。まず、SSAPが病理学的、形態学的に定義を満たし、かつ、分子生物学的にもその特徴を備えているかどうかを検証する必要があると考えられるため、追加でこれらを確認中である。 学会参加 内視鏡的な組織採取の技術の精度をさらに増すためにDDW2014(神戸)に参加し、他施設での技術、動向を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではSSAPからの発がん(いわゆるSerrated pathway)の分子生物学的解析が目的であり、26年度までにタンパク質発現・翻訳後修飾の相違とmiRNAの網羅的に解析する予定であったが、DNAの検索、メチル化の検討がそれ以前に必要と思われたため、タンパク質、miRNAの検討までは未だ至っていない。また、タンパク質の分析には、切除後、新鮮な標本が必要である。切除標本は非常に小さく、また、肉眼で(実体顕微鏡を用い)正常組織、SSAP、癌と分離する必要があるため、研究前の予想以上に技術的にも困難な点がある。組織検体の採取方法にも課題があると思われるが、検体は確保されているため、固定標本で解析可能なmiRNAの解析は計画通り進むものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、Serrated pathwayにおけるmiRNA,タンパク質の役割についての検討を行う予定であったが、DNAの変異、メチル化の検討も行う予定である。これにより、DNAからRNAを経てタンパク質の翻訳、発現経路が明らかとなると思われるため、DNAの検索を含め、検討を行っていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
SSAPの分子生物学的特徴の解析は、DNA,RNAそしてタンパク質と多岐にわたるため、単年度で研究を終了することは困難である。前述したように、標本から検体を分離採取する段階に研究前の予想より困難である部分が存在したため、解析の遅れに伴い、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
検体採取には成功しているので、次年度はよりスピード感を持って実験を遂行して行く予定である。
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