研究課題
難治化した炎症性腸疾患(IBD)において長期間の炎症が大腸発癌を促進し、B型肝炎や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)など慢性炎症が発癌を促進する。本研究で慢性炎症と発癌を関連づける分子機構を究明した。IBD、colitis-associated cancer (CAC)の大腸組織、および肝癌組織を用いた。Heat shock protein A4 (HSPA4), Cold-inducible RNA-binding protein (Cirp), RNA-binding motif 3 (RBM3)欠損マウス、ガンキリン組織特異的欠損マウスと大腸および肝発癌マウスモデルを使用した。難治化したIBDの大腸粘膜においてストレス応答蛋白HSPA4, Cirp, RBM3、癌遺伝子ガンキリンの発現が亢進していた。HSPA4, Cirpは炎症細胞においてアポトーシス制御蛋白の発現を制御し炎症を増幅させ、RBM3は幹細胞マーカーR-spondinの発現を亢進させ上皮細胞の増殖を促進させる。ガンキリンは炎症細胞においてSrc homology 2 domain-containing protein tyrosine phosphatase-1 (SHP-1) に結合しSTAT3を活性化し炎症を増幅する。このような腫瘍微小環境での炎症反応がERKの活性化や幹細胞の増殖を介して発癌を促進する。慢性炎症に対するストレス応答が発癌を促進する。また腫瘍微小環境において癌遺伝子ガンキリンはSTAT3, ERKの活性化を制御し発癌や治療抵抗性に関与している。これらの分子は消化器癌の発生や治療抵抗性リスクを予測するバイオマーカーであり、新規治療の標的となる可能性がある。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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