研究実績の概要 |
本研究において、標準化学療法を実施された進行消化器がん患者について免疫応答解析を実施した。初回標準化学療法を実施された大腸癌患者において治療前のmonocytic MDSC(myeloid-derived suppressor cell)、およびエフェクターメモリーT細胞の数量と PFSとの関連を認めた。(Tada, K, Kitano S, et al, Cancer Immunology Research, 2016.)さらに、化学療法を施行された進行胃癌患者においてはgranulocytic MDSCの数量とPFSの相関を見出し報告した。(Shoji H, Kitano S, et al. Oncotarget. In press.)さらに、他の癌腫(悪性黒色腫、食道がん、子宮頸癌、前立腺癌などにおいても、末梢血、腫瘍局所レベルで免疫抑制細胞(MDSC, TAM(tumor associated macrophage)やエフェクター細胞の数量、および、それらの比によって治療効果(OS, PFS)との相関を見いだすことができた。また、がん患者由来のMDSCに強発現している分子の同定も行うことができた。本研究の成果をもとに、今後の併用療法の戦略として免疫抑制細胞とそれに関わる液性因子を解除する効果を持つ薬剤を含む併用療法がが抗腫瘍効果を増強し、治療成績の向上に寄与するか否か各種がんで前向き試験で検証を進めていきたいと考えている。
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