肝癌におけるHSF1の役割と標的治療の可能性について研究を行った。HSF1の発現抑制により、MAPK経路の活性化の減弱と細胞増殖の低下、NF-κBの活性化の減弱とアポトーシスの亢進を認めた。肝癌の切除検体ではHSF1の高発現と臨床病理学的悪性度の相関を認めた。酸化ストレス肝発癌モデルとしてalb-cre/ LSL-KrasG12Dを作成し、このモデルの高脂肪食負荷では、有意な肝発癌の増悪、腫瘍部で強いHSF1の発現を認め、酸化ストレス肝発癌、NASH肝発癌におけるHSF1の関与が示唆された。HSF1の機能解析と臨床検体の結果より、HSF1は肝癌における重要な治療標的分子に成り得る事が示された。
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