臨床的に肝癌は発症の高危険群が設定しやすい癌であるが、本申請では、これまで申請者らがゲノムワイドアソシエーションスタディ(GWAS)で同定した肝癌発症感受性遺伝子MICAの発現を制御することにより高危険群からの肝癌発症を予防する方法を開発する。MICA遺伝子の一塩基多型に対応する血清MICAタンパクの多寡が、慢性C型肝炎からの肝癌発症に関与することを我々は報告したが、その後の解析によってMICAタンパクの発現量は、転写後調節に大きく依存していることを確認している。 そこで今年度は ゲノム編集の手法を用いて MICA promoter領域にCas9と融合した転写活性化因子を近づけることで MICA の転写を増やすことができないかを検討し、至適条件を決定し実際に蛋白量の増加をさせることに成功した。これにより、コンストラクトの導入という難点はあるが、自在にMICAの転写量は制御できる可能性が開かれ、自然面系系を介した発癌予防・治療のひとつの方策になる可能性が示された。
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