研究課題
申請者らは、IFN治療によるHCV排除にはRIG-I/IPS-1依存性自然免疫とIFN応答性が関与し、それに対するHCVの逃避機構が治療効果に関連していることを背景に、自然免疫系を基軸としたHCVおよびHBVの治療抵抗性の機序を発展的に解明するために特にIFNλ4に注目して研究を行っている。平成26年度は、IL28B SNPのリスクアレルに起因するIFNλ4の臨床的意義を解明するために、HCV感染の主座である肝細胞と免疫担当細胞の臨床検体において、次世代シーケンサーによる肝および末梢血単核球におけるIFNλ4遺伝子の発現解析を行い、詳細な臨床データとの対比によりIFN不応性に関わる意義を明らかとした。また、HCV増殖・培養系を用いたIFNλ4を中心としたIFN応答抑制機構の解明を目的として、IFNλ4およびIFNλ4遺伝子より転写されるスプライシング・バリアントであるp107、p131、p170、およびmajor alleleに起因するp124、p143それぞれの発現プラスミドを作成し、強制発現系による自然免疫系遺伝子群とのクロストークおよびISG発現とHCV増殖に与える影響をについて解析を行った。さらには、HBVはⅠ型IFNが奏功しない肝炎を誘起するが、HBV感染におけるIFN不応性の機序の詳細が不明であるため、上記C型肝炎の研究と並行して、HCV研究において蓄積した技術的基盤をB型肝炎に展開し、B型肝炎におけるIFNλ4のIFN不応性への関与と自然免疫変調作用の分子機構の解明についても解析を施行した。B型肝炎患者由来の肝組織および末梢血単核球におけるIFNλ4発現の次世代シーケンサーによるRNA sequenceにより解析、またHBV増殖細胞モデルを用いたIFNλ4が関わるIFN不応性の機序の解明を試みた。
2: おおむね順調に進展している
現時点ではおおむね順調に研究計画が遂行されている。
平成26年度の研究結果に基づき、さらに引き続き継続して研究を継続していく。また加えて、IFNλ4および自然免疫系シグナル伝達に関わる遺伝子の一連のknock down系を構築し、IFNλ4が関わるIFN応答抑制機構のより詳細な検討についても行っていく予定である。
試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。
検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Gastroenterology and Hepatology
巻: 30 ページ: 1075-84
10.1111/jgh.12902