研究課題
研究グループでは、肝炎ウイルス感染症の制御と新規治療開発を目的とした研究を遂行し下記の成果を得た。C型肝炎ウイルスを標的とした新規治療薬(Direct anti-viral agents;DAA製剤)に対するHCV genomeの耐性変異について次世代シークエンサーを用いたdeep sequence解析を行い、臨床背景因子、治療予後との関連性について解析を行った。解析対象は3剤併用療法(TVRまたはSMV/PEG-IFN/RBV)を施行したC型慢性肝炎症例35例とし、そのうち治療完遂20症例の治療前、治療開始早期、治療後再燃時でのDAA耐性株、NS3領域とNS5A領域についてdirect sequenceおよびdeep sequenceによって解析した。治療完遂20例(TVR12例、SMV8例)の治療成功率は、初回治療例と前治療再燃例(n=13)で85%、前治療無効例(n=7)で29%であった。Deep sequenceによるNS5A耐性株の解析では治療開始前の耐性株の存在はNS3阻害剤を含む3剤併用療法において治療予後との関連は認めなかった。NS3耐性株解析では初回治療、前治療再燃例において治療前10例(77%)に1%以下のNS3領域の耐性株を認めたが治療予後との関連はみられなかった。一方で、前治療無効症例(IFN不応例)では治療開始早期又は治療後再燃時にNS3耐性株が野生株より優位となり、IFN感受性のない症例に対しては治療開始前、開始早期のDAA耐性株の存在は治療予後に影響すると考えられた。NS3阻害剤で治療不成功症例において7例中5例にNS5A耐性株が存在し、再治療の際にはDAA製剤の選択に注意が必要となると考えられた(65th Annual Meeting of the AASLDにて発表)。
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J Gastroenterol Hepatol
巻: In press ページ: Epub
10.1111/jgh.12902