NKT細胞は、通常のT細胞とは異なり、糖脂質を認識するT細胞である。糖脂質alpha-galactosylceramide(a-GalCer)は、NKT細胞を特異的に活性化する。a-GalCerをマウスに投与すると、肝臓のNKT細胞が活性化し、自己の肝細胞を傷害して肝障害を誘導される。本年度は、このa-GalCerを投与することにより発症するNKT依存性肝炎マウスモデルにおいて、顆粒球系マーカーと単球/マクロファージ系マーカーを同時に発現する骨髄由来抑制性細胞(myeloid derived supressor cells: MDSC)が、肝臓や脾臓などで著明に増加するこを見出した。さらに、このMDSCがNKT細胞依存性肝炎の病態にどのように関与するかを調べた。NKT細胞依存性肝炎で増加するMDSCは、Gr-1の発現により、Gr-1を高発現するGr-1-high と、Gr-1を中等度に発現するGr-1-lowの2つのサブセットに分けることができた。セルソーターでこの2つのサブセットのMDSCをソーティングし、NKT細胞依存性肝炎を発症したマウスに移入したところ、Gr-1-highのMDSCは、NKT細胞依存性肝炎を悪化させ、一方、Gr-1-lowのMDSCは、NKT細胞依存性肝炎を抑制することが明らかになった。さらにそのメカニズムを追及したことろ、それぞれのMDSCは、TNF-alphaの産生を制御することにより、NKT細胞依存性肝炎の病態を制御していることが明らかとなった。現在、これら結果をもとに、英文論文を作成中であり、研究成果の発表を予定している。
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