研究課題
NASH の発症機序として、肝マクロファージの活性化が重要であり、Tol様受容体シグナル、インフラマゾームなどの経路が注目されている。本研究では、クッパ-細胞を標的としたドラッグデリバリー技術をsiRNA 医薬に応用することで、①NASH 発症におけるクッパー細胞活性化の分子機構を解析すること、 ②ドラッグデリバリー技術と特異的核酸医薬(SPG とsiRNA) を用いたNASH の新規治療法を開発することを目的としている。平成26年度は、NASHモデルとしてコリン欠乏食マウス、メチオニンーコリン欠乏食マウスを作成して、脂肪化、浸潤マクロファージ、線維化を確認し、病態に関与するサイトカイン、インフラマゾーム、Toll様受容体シグナル関連分子の変動を確認した。またモデルマウスから採取したクッパー細胞を用いて、それらの分子の変化の確認を行った。この結果を踏まえて、平成27年度は変化する各種のサイトカインやインフラマゾーム関連分子、Toll様受容体関連分子のsiRNAを網羅的に作成した。マウス由来マクロファージ細胞株、モデルマウスから採取したクッパー細胞にこれらのsiRNA を処理して、それぞれのノックダウンの効率を確認し、siRNAの検定を行った。さらに、至適のsiRNA を用いて、siRNA-SPG複合体を作成に着手して成功した。一方、SPGのレセプターであるdectin-1 の肝臓における局在の確認を行い、正常肝では発現に乏しいがNASH モデルのクッパー細胞での発現が増加することを確認し、siRNA-SPG がクッパー細胞に特異的に作用しドラッグデリバリーとして有効に働く可能性を確認した。
3: やや遅れている
in vitro でのsiRNAの検定に予定より時間必要となった。また、SPG-siRNA 作成のデザイン作成に手間取り、作成にかなりの時間を要した。しかし現在はSPG-siRNAの作成は終了し、十分量確保していること、また、NASH モデルでのSPG のレセプターであるdectin-1のクッパー細胞での特異的発現を確認しており、平成28年度はさっそくNASH モデルでの生体実験を行う予定である。
SPG-siRNAはすでに作成済みである。NASH モデルは、今まで使用経験の豊富なコリン欠乏食マウス、メチオニンーコリン欠乏食マウスモデルを用いて、週2回のSPG-siRNAを投与して、肝臓の病理学的、生化学的解析を行い、、siRNA-SPG がクッパー細胞に特異的に作用しうるか、またドラックデリバリー法として有効に働くかどうか検証する。また複数のSPG-siRNA の比較検討することにより、NASH進展のkey moleculeの検索を行う。以上の結果をまとめて、国際学会での発表、英文での論文化を目指す。
動物飼育に必要な経費は次年度での決済となるため次年度への繰り越しとした。
次年度にはSPG siRNAを用いた動物実験を予定しており、そのための飼育費用が高額戸なることが予想されるため繰り越しとした。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (4件)
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