研究課題
NASH進展機序として、マクロファージの活性化に伴った肝臓の壊死・炎症や線維化が重要である。本研究では、肝マクロファージであるクッパー細胞を標的としたドラッグデリバリーシステム技術をsiRNA医薬に応用することで①NASH発症におけるクッパ―細胞活性化の分子機構を解析すること、 ②ドラッグデリバリー技術と特異的核酸医薬(SPGとsiRNA)を用いたNASHの新規治療法を開発することを目的とした。平成28年度は、siRNAのなかからTNF-a を選択して、SPG-TNF-aを作成した。CDAA食20週間投与したNASHモデルえを作成し、週2回4週間SPG-TNF-aを尾静脈から投与して、肝組織を解析した。その結果、SPG-TNF-a 投与群は、肝組織中の炎症所見、アポトーシス、線維化、酸化ストレスは対照群に比較して軽減した。また、活性化星細胞マーカーであるa-SMA 陽性細胞も減少した。さらにSPG-TNF-a投与群では、肝臓内のCD11C陽性のM1マクロファージ、F4/80 陽性活性化マクロファージの減少を認め、SPG-TNF-a投与によってマクロファージの活性化が抑制されたことを確認した。また各種遺伝子発現を検討した結果、TNF-aの発現は低下したが、同時に炎症性サイトカインであるIL-1b、IL-6等も低下した。以上から、SPG-TNF-aはdectin-1 を介して活性化マクロファージに作用してTNF-a発現を抑制し、それによってマクロファージ自体が活性化に抑制がかかり、肝臓における炎症・壊死・線維化が軽減されることが推測された。以上よりマクロファージを特異的に標的とするドラッグデリバリーシステムはNASH 治療のストラテジーとなり得ることが確認された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
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