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2016 年度 実績報告書

肝硬変微小環境による肝がん幹細胞発生維持制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26460994
研究機関金沢大学

研究代表者

山下 太郎  金沢大学, 附属病院, 准教授 (90377432)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードがん幹細胞 / がん微小環境 / エピジェネテッィク制御 / サイトカイン / 抗がん剤感受性
研究実績の概要

がん幹細胞は増殖、転移、抗がん剤抵抗性に関わる重要な標的と考えられている。本研究では肝細胞がんの可塑性について、特にがん幹細胞の維持制御機構と微小環境を構成する細胞との関連について検討を行った。肝がん培養細胞株Huh7細胞と線維芽細胞WI-38、星細胞株であるLX2、血管内皮細胞株であるHUVECとの共培養システムを用いて検討を行い、EpCAM陽性肝がん幹細胞分画がWI-38共培養によって増加すること、WI-38で高いTGF-betaの発現が認められ、TGF-betaに対する中和抗体でその効果を抑制可能であることを見出した。さらに、WI-38との共培養によりHuh7細胞に遠隔転移能力が獲得されることを免疫不全マウスを用いたin vivoでの解析で同定した。WI-38から分泌されるTGF-betaがHuh7細胞に与えるエピジェネティック変化につき検討を行ったところ、TGF-beta投与48時間後にはHuh7細胞でH3K36me2が特異的に減少すること、この減少はヒストン脱メチル化酵素KDM2Bの発現亢進を伴っていることを同定した。KDM2BはEpCAM陽性肝癌幹細胞に強発現していることから、微小環境細胞から誘導されるサイトカインがエピジェネティックメモリーを制御することでがん幹細胞の可塑性を制御している可能性が示唆された。さらに、TGF-beta以外の血清サイトカインががん微小環境を反映し抗がん剤感受性に関わるかを検討した結果、6種類の血清サイトカインを用いることでソラフェニブの感受性を予測することができることを見出した。本研究はがん微小環境がエピジェネティックに肝細胞がんの未分化性を制御し抗がん剤感受性を規定する重要な要因であることを見出した点において極めて重要な研究成果を提出したと考える。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] De Novo Emergence of Mesenchymal Stem-Like CD105+ Cancer Cells by Cytotoxic Agents in Human Hepatocellular Carcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Nomura Y, Yamashita T, Oishi N, Nio K, Hayashi T, Yoshida M, Hayashi T, Hashiba T, Asahina Y, Okada H, Sunagozaka H, Takatori H, Honda M, Kaneko S.
    • 雑誌名

      Transl Oncol.

      巻: 10 ページ: 184-189

    • DOI

      10.1016/j.tranon.2017.01.005.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The evolving concept of liver cancer stem cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Nio K, Yamashita T, Kaneko S.
    • 雑誌名

      Mol Cancer.

      巻: 16 ページ: 1-12

    • DOI

      10.1186/s12943-016-0572-9.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Stemness of liver cancer: From hepatitis B virus to Wnt activation.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamashita T, Nault JC
    • 雑誌名

      J Hepatol.

      巻: 65 ページ: 873-875

    • DOI

      10.1016/j.jhep.2016.07.014

    • 査読あり
  • [学会発表] The role of liver cancer stem cells in hepatocellular carcinoma2017

    • 著者名/発表者名
      Taro Yamashita
    • 学会等名
      APASL
    • 発表場所
      上海
    • 年月日
      2017-02-17
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Peretinoin prevents DNA damage accumulation and reverts preneoplastic lesions to normal liver-like in platelet derived growth factor-c transgenic mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Taro Yamashita
    • 学会等名
      AASLD
    • 発表場所
      Boston
    • 年月日
      2016-11-11
    • 国際学会
  • [学会発表] ソラフェニブ抵抗性を獲得した肝細胞癌に対する治療戦略の基礎検討2016

    • 著者名/発表者名
      山下太郎、羽柴智美、金子周一
    • 学会等名
      日本肝臓学会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2016-05-19
  • [産業財産権] ソラフェニブ応答性予測のための方法2016

    • 発明者名
      山下太郎、本多政夫、金子周一
    • 権利者名
      山下太郎、本多政夫、金子周一
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2016-238838
    • 出願年月日
      2016-12-08

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公開日: 2018-01-16  

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