研究課題
本研究は、脂肪組織由来間質細胞群の細胞分画を分類し、各細胞分画の生物学的特性を解析し、肝疾患に対する修復再生療法に重要な分画を解明することを目的としている。C57BL/6Jマウスの鼠径部皮下脂肪組織を採取、酵素処理を行い間質細胞を分離した。表面抗原解析では、CD45陽性細胞が10~20%含有されていた。脂肪組織由来間質細胞群のCD45+細胞のうち、約50%がCD68を発現し、マクロファージ様発現型を示した。さらに、その90%がCD206を発現するM2フェノタイプマクロファージが示唆された。脾細胞および末梢血液細胞のCD45+細胞と比較して、脂肪組織由来間質細胞群のCD45+細胞では、Il1b、Tnf、Il23a、Cd80、Il6, Nos2, Il12a, Il12bのM1マクロファージ関連遺伝子の発現が低下し、CD206、CCl22、Ccl24のM2マクロファージ発現が上昇を示した。脂肪組織由来間質細胞群のCD45+細胞とCD45-細胞の遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイにて比較検討したところ、CD45+陽性細胞で2884遺伝子が発現上昇、3838遺伝子が発現減弱を示した。発現上昇した遺伝子は、免疫制御に、発現減弱した遺伝子は発生形成に関連を示した。また、脂肪組織由来間質細胞群のCD45+細胞をConA刺激下脾細胞と2時間共培養した後の、脾細胞の遺伝子発現をリアルタイム定量PCRで評価した結果、Ccl3、Tnf、Ifngの発現が低下した。ConA急性肝炎マウスに脂肪組織由来間質細胞群のCD45+細胞を投与したところ、血清ALTの低下を認めた。以上より、脂肪組織由来間質細胞群のCD45+細胞は、抑制性マクロファージ類似の表現型、機能を有し、肝臓の炎症に対して抑制的に作用することが示された。
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