研究課題
本研究は自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者において真の疾患感受性遺伝子とその多型・変異を特定し、臨床応用へと展開することが目的である。最終年度はAIH患者166名、PBC患者262名、健常者322名における9カ所のprotein tyrosine phosphatase N22 (PTPN22)遺伝子多型の検討を行い、AIH患者では5つの遺伝子多型の頻度が健常者と比較して有意に低率であった。さらに、共通した推定ハプロタイプがAIHとPBCにおいて疾患抵抗性と関連していることを明らかにした。(Umemura et al. Scientific Reports 2016)PBCについては肝生検施行時でウルソデオキシコール酸投与前の136名の保存血清を用いて各種バイオマーカー、サイトカイン、ケモカインを計36種類を網羅的に測定し、予後(非代償期への移行、肝関連死)の予測が可能かどうか検討を行った。多変量解析から血清可溶性CD14(sCD14)とIL-8がそれぞれ独立した予後予測因子であることが明らかとなった。さらに、カプランマイヤー解析では高sCD14・高IL-8血症の患者群は予後不良であることを証明した。以前から報告のあった抗gp210抗体陽性者も予後不良であることを追加で証明した。(Umemura et al. Liver International in press)さらに、全国多施設共同研究の結果としてPBCの全ゲノム解析からPRKCB遺伝子が新たな疾患感受性遺伝子の可能性が明らかとされた。(Kawashima et al. Human Molecular Genetics 2017)以上の結果から本邦におけるAIH、PBCにおける疾患感受性・抵抗性遺伝子、病態進行と関連のあるバイオマーカーを明らかにした。
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