研究課題
コリン欠乏高脂肪食 (CDHF) によるNASHマウスモデルにおいて分岐鎖アミノ酸投与による糖質、分岐鎖アミノ酸代謝の変化について調べることを目的とした。C57BL/6J 雄マウス8週齢にCDHFを4週投与する群(CDHF4群)、8週投与する群(CDHF8群)、CDHFにコリンを補充したCSHFを8週投与する群(CSHF8群)、及びCDHFを8週投与中に2%BCAAを補充する群(CDHF8+BCAA群)を作成した。また血中BCAA濃度の測定、及びメタボローム解析により肝臓の各種代謝産物を測定した。CDHF4群及び8群でCSHF8群と比較して血糖は有意に低値で、PDK4は有意に高値であった。CDHF8週投与によるマウスNASHモデルは組織学的にNASHとなっていた。メタボローム解析においてCDHF8群はCSHF8群及びCDHF4群と比較して 3-Phosphoglyceric acid, Phosphoenolpyruvic acid, Acetyl CoAにおいて低値であったが、CDHF8+BCAA群で上昇していた。CDHF8群でCSHF8群よりLeucine濃度が高い傾向がみられた。 BCAA代謝の律速酵素であるBCKDHの遺伝子発現がCDHF8群でCSHF8群より有意に低値であり、そのkinaseであるBCKDH kinaseは高い傾向があった。これらからCDHF4群、8群では解糖/糖新生系代謝は低下していたが、BCAA投与時に増加し、CDHF4群、CDHF8群ではBCAA代謝は低下していた。本年度までの結果を踏まえ、CDHFによるNASHモデルにおいてBCAA投与によりALTの改善、肝脂肪の低下がみられた。また同時にCDHFによる解糖/糖新生系代謝低下がBCAA投与により上昇していた。これらから高脂肪食摂取によるNASHにおいてBCAA投与が有用になる可能性が示唆された。
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Metabolism
巻: 69 ページ: 177-187
10.1016/j.metabol.2016.12.013. Epub 2017 Jan 4.