研究課題/領域番号 |
26461000
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 佳秀 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90378662)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 脂肪肝 / 脂肪肝炎 / 肝移植 |
研究実績の概要 |
1. 肝移植後NAFLD再発の危険因子解析:当施設において2011年12月までに行われた肝移植症例のうち、18歳以上の原因不明の肝硬変に対する肝移植症例28例について、移植後の脂肪肝やNASHの発症ならびにこれらに関与する因子についての解析を行った。その結果、肝移植後5年での脂肪肝発症率は69%、NASH発症率は41%と高率であった。肝移植後NAFLD再発の危険因子について、レシピエントならびにドナーの肥満、糖尿病、高脂血症などの有無、これらに対する治療法と効果、術後の栄養状態、移植後合併症の有無、免疫抑制剤の種類など、多方面から解析を行ったが、有意な因子は同定されなかった。 2. 膵切除後のNAFLD発症の現状と危険因子解析:2006年から2013年に当院で行われた膵切除例421例におけるNAFLD発症の現状と危険因子の解析を行った。膵切除後のNAFLD発症率は4%と低頻度であったが、発症例では短期間で急速に高度の脂肪肝となることが明らかになった。高度脂肪肝発症の予測因子は現在解析中である。 3. 肝移植後NAFLD再発例の血中胆汁酸解析・ホルモン濃度測定・メタボロミクス解析:肝移植後のNAFLD再発の知見から、肝外の因子、特に血中の因子がNAFLD発症に重要な役割を果たしていると考えられたため、これらの症例の血清を収集・保存を行い、血中胆汁酸解析、ホルモン濃度解析、メタボロミクス解析を行う準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝移植後ならびに膵切除後の非アルコール性肝疾患の臨床的解析において、現在までNAFLD発症の有意な予測因子が同定できておらず、再解析を行っている。 肝移植後NAFLD再発例の血中胆汁酸解析・ホルモン濃度測定・メタボロミクス解析については、解析準備が整っているが、まだ解析は進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
肝移植後ならびに膵切除後の非アルコール性肝疾患の臨床的解析において、予測因子の再解析を進める。 肝移植後NAFLD再発例の血中胆汁酸解析・ホルモン濃度測定・メタボロミクス解析ならびに培養細胞を用いたin vitroでの脂肪化解析を実行する。 新たに、ヒトNAFLD肝組織ならびに肝癌組織におけるゲノム異常の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度は、臨床的なデータ収集と解析が主体となり、血液を用いた解析ならびにin vitroでの解析は最終準備段階までを行ったため、実際の解析を行う次年度使用額を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
採取・保存した血液サンプルを用いた血中胆汁酸解析・ホルモン濃度測定・メタボロミクス解析のための費用として使用する。また、培養細胞を用いたin vitroでの解析、動物モデルを用いた解析のための実験物品の購入を行う。 さらに、成果報告のための旅費として使用する。
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