研究課題/領域番号 |
26461008
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今村 道雄 広島大学, 大学病院, 病院助教 (40403513)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | C型慢性肝炎 / 耐性変異 / deep sequence / ヒト肝細胞キメラマウス |
研究実績の概要 |
薬剤耐性型C型肝炎ウイルス(HCV)とインターフェロン非使用DAA併用療法の効果の関連をC型肝炎患者およびヒト肝細胞キメラマウスを用いて検討した.Genotype 1b型C型肝炎患者においてダクラタスビル+アスナプレビル療法前26例中16例でdeep sequenceにて0.2%以上のNS5A-Y93変異が検出された.NS5A-Y93変異が検出されなかった10例では全例でダクラタスビル+アスナプレビル療法によってSVRが得られた.NS5A-Y93変異が0.2-18%の症例が6例存在したが全例でSVRが得られた.NS5A-Y93変異が21.9-100%の症例が7例存在し,うち3例でSVRが得られた.NS3-D168変異とダクラタスビル+アスナプレビル療法の効果との関連はヒト肝細胞キメラマウスを用いて行った.4頭のマウスに種々の割合のNS3 D168変異型genotype 1b型HCVを感染させ,ダクラタスビル+アスナプレビルを4週間投与したところ,投与中にすべてのマウスで血中HCVは陰性化した.投与前のNS3-D168変異が3.3%および13.2%であった2頭のマウスでは投与終了9週後まで血中HCVは陰性であり,ウイルス排除が得られたと思われ.一方,NS3-D168変異が57.7%および86.1%であった2頭のマウスでは投与終了1週後および3週後に血中HCVは再陽性化し,その後ウイルス量は増加した.C型肝炎患者およびHCV感染マウスを用いた検討から,薬剤耐性変異が存在していても,その頻度が少ない場合はダクラタスビル+アスナプレビル療法が有効である可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に目標としてあげたC型肝炎患者のDAA療法前の耐性変異と治療効果の関連についての検討を達成した.またヒト肝細胞キメラマウスを用いて,NS3-D168変異型HCVとDAA併用療法の治療効果の関連の検討も達成した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の目標としてあげている,HCV感染マウスを用いて薬剤耐性型HCVに対する有効なDAA併用療法のスクリーニングを行う.またDAA療法により治療failureとなったC型肝炎患者の血中耐性ウイルスのdynamicsの長期的な検討を行っていく.
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