研究課題
Genotype 1b型C型肝炎患者においてダクラタスビル+アスナプレビル療法の非SVR例では,deep sequneceにて,高頻度のNS3-D168,NS5A-L31/Y93変異が出現していたこれら耐性変異を経時的に測定したところ.NS3-D168変異は次第に減少していったが,NS5A-L31/Y93変異は長期間,維持されていた.プロテアーゼ阻害薬にて非SVRとなった場合,出現したNS3-D168変異がその後のDAA治療にどのように影響するかをヒト肝細胞キメラマウスを用いて検討した.ヒト肝細胞キメラマウスにDAA未治療あるいはダクラタスビル+アスナプレビル療法breakthrough例の血清を投与後,シメプレビル(20 mg/kg/日)あるいはソフォスブビル(80 mg/kg/日)を連日経口投与し,NS3-D168変異をdeep sequenceにて解析した.ダクラタスビル+アスナプレビル療法breakthrough例の血清を投与したマウスにシメプレビルを投与したところ,DAA未治療例のHCVを感染させたマウスに比べ,より早期に高頻度のNS3-D168変異が出現した.またシメプレビル+ソフォスブビルを投与したところ,NS3-D168変異の出現は,シメプレビル単独投与に比べ遅れたものの,DAA未治療例のHCV感染マウスに比べ高頻度に出現した.これらの結果からプロテアーゼ阻害薬治療の非SVR例に出現したNS3-D168変異は,治療終了後,減少するが,プロテアーゼ阻害薬の再投与により,速やかに再増加しており,プロテアーゼ阻害薬耐性変異はdeep sequenceにより検出感度以下になったとしても,体内に残存している可能性が示された.
2: おおむね順調に進展している
平成27年度の目標にあげた新たに出現したDAA 耐性株の体内の残存期間の検討について達成した.またヒト肝細胞キメラマウスを用いて,NS3-D168耐性変異とDAA併用療法の治療効果の関連の検討も達成した.
平成28年度の目標としてあげている,HCV感染マウスを用いて薬剤耐性型HCVに対する有効なDAA併用療法のスクリーニングを行う.またDAA療法により治療failureとなったC型肝炎患者の血中耐性ウイルスのdynamicsの長期的な検討を行っていく.
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J Med Virol
巻: 87 ページ: 1913-20
10.1002/jmv.24255