研究課題
これまで我々は、非代償性肝硬変症に対する「自己骨髄細胞投与療法」を開発し、その安全性と有効性を多施設臨床研究で明らかにしてきた。この自己骨髄細胞投与療法で明らかとなったProof of Concept (POC)は、硬変肝に生着した投与骨髄細胞からのMatrix metalloproteinase-9 (MMP-9)等のコラゲナーゼが肝線維化を溶解し、それに引き続く肝前駆細胞の活性化や肝細胞の増殖が肝機能を改善し、肝臓再生を誘導することである。また、全身麻酔施行困難例に対しては、局所麻酔下に採取した自己少量骨髄液から培養した間葉系幹細胞(BMSC)を投与する「低侵襲な肝臓再生療法」を開発し、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に則り、安全性評価目的の臨床研究を実施中である。またこれまで本研究では、BMSCやその細胞外分泌物にはレドックス制御能があることを、BMSCと肝細胞との共培養系で明らかにしてきた。またBMSCと肝臓構成細胞との細胞間相互作用についても共培養系で検討し、特定条件下においてBMSCはマクロファージのMMPs産生を促進させることも確認した。さらに我々は、全骨髄単核球細胞から「CD73/CD105陽性かつCD45陰性で多分化能を有するBMSC分画」を効率よく培養することができる「高生体親和性ナノマテリアル培養皿」を開発しており、今年度はBMSCが高効率で培養されるメカニズムも独自解明した。
2: おおむね順調に進展している
これまでにBMSCやBMSCエクソソームのレドックス制御能を証明し、またBMSC培養誘導メカニズムを解明する等、概ね計画に沿って進んでいる。
「高機能BMSC」の安定誘導法を構築し、この細胞のマウス肝硬変モデルでの肝臓再生能を評価する。また、高機能BMSCエクソソームや同定したmiRを投与するセルフリーの肝臓再生療法の非臨床POCの取得を目指す。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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