研究課題
これまで我々は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症においてKupffer細胞の機能異常が、その病態進展において需要な役割を果たしていることこれまで明らかにしている。昨年からの我々の検討では、NASHモデル動物においては、Kupffer細胞サブセットであるCD11b+Kupffer細胞が増加しCD68+Kupffer細胞が減少することが明らかになった。さらに、サイトカイン分泌を主に担うCD11b+Kupffer細胞が増加し、貪食能を主に担うCD68+Kupffer細胞が減少することが明らかとなった。NASH肝においてはKupffer細胞が増加するが、そのサブセットの変化がサイトカインの過剰分泌とともに貪食能の低下という自然免疫の異状状態を来たしていることが明らかとなった(PLoS One. 2014 Mar 25;9(3):e92515.)。さらに、最近ではfibroblast growth factor 5 (FGF5) 欠損miceに対して高脂肪食負荷によりNASHを惹起したところ、高度の脂肪性肝炎と肝線維化を来すとともに、CD68+Kupffer細胞およびCD11b+Kupffer細胞の強い集積を認めた。1Gの放射線照射によりCD11b+Kupffer細胞数を減少させてところ、肝脂肪化は変化しないにも関わらず肝臓の炎症と線維化は著明に改善した。一方、clodronate liposome投与によりCD68+Kupffer細胞を減少したところ、逆に肝障害は増悪を来した。以上のことから、NASH発症および肝障害の増悪においてCD68+Kupffer細胞およびCD11b+Kupffer細胞の肝臓内集積は肝障害の進展に極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった(Sci Rep. 2016 Oct 6;6:34466. doi: 10.1038/srep34466)。以上のように、研究助成により順調に研究成果が上がっているものと考えられる。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 8件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
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