研究課題
これまで我々は、レニン-アンギオテンシン系(RAS)の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)における肝線維化への役割について報告してきた。近年、終末糖化産物(AGE)およびその受容体であるRAGEからのシグナル伝達は、NASHの病態に極めて重要な活性酸素種(ROS)の産生に強く関わっていることが明らかとなっている。このため、本研究ではRASとRAGE-AGE系を介したNASHの線維化進展の制御について検討することを本研究の目的とした。昨年から本年にかけての検討では、RASからのRAGE発現調整はPKC-δおよびPKC-βリン酸化を介した作用で調整を行っていることが明らかになった。さらに、NASHにおけるAGE-RAGE系に対するRASからの発症調整作用は、相加作用はなくRAGE発現の調整作用だけであることが明らかとなった。RAGE発現は肝細胞では少なく肝星細胞での発現が多く、NASH発症においては重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、RAGE発現の抑制はTNF-αおよびROSの発現抑制を介してNASH発症の調整を担っていることも明らかとなった。また、RAGEノックアウトマウスを用いNASHの肝線維化進展に対する影響を検討したところ、RAGEノックアウトマウスではwildマウスに比べ、肝内の炎症、線維化が明らかに抑制されていた。(学会発表:第52回肝臓学会総会ワークショップ:2016年5月、第24回肝病態生理研究会:2016年5月、第24回UEG-Week, Wienna:2016年10月)以上のように、研究助成により順調に研究成果が上がっているものと考えられる。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
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