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2016 年度 実績報告書

原発性胆汁性肝硬変(PBC)の胆管細胞から明らかにする発症機序と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26461012
研究機関九州大学

研究代表者

下田 慎治  九州大学, 大学病院, 准教授 (30279319)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード原発性胆汁性胆管炎 / IFN-g / anion exchanger 2 / 悪性サイクル
研究実績の概要

PBC患者では陰イオン交換体2(AE2)の発現低下と治療による回復を認め、AE2ノックアウトマウスではPBC様の胆管炎が出現することから、胆管細胞でのAE2発現低下をもたらす環境因子とAE2発現が低下した胆管細胞の表現形を明らかにすることを目的とした。PBC環境を模倣した培養系を用いて検討した結果、胆管細胞は自然免疫リガンドと疎水性胆汁酸の暴露により細胞内酸化ストレスが亢進するとともにAE2発現が低下し、前炎症性サイトカインであるIL-6やケモカインの産生が亢進することが明らかになった。胆管細胞でのAE2発現をsiRNAで落としても同様であった。またAE2発現が低下した胆管細胞周囲には自己免疫細胞が有意に遊走することも明らかになった。PBCの病態を増悪させる因子として、ケモカイン・細胞接着分子として知られるCX3CL1の発現が胆管細胞で亢進することが知られているが、胆管細胞は疎水性胆汁酸による暴露に加えて、主に免疫細胞から産生されるIFN-gの存在でCX3CL1産生を亢進させるとともに、更にAE2発現が減弱することが明らかになった。またこのようなPBC模倣環境では胆管細胞の老化を認め、一連の現象は細胞老化関連分泌現象であることが示唆された。最後にPBC胆管を正常胆管や肝炎症例の胆管と病理的に比較した結果、PBC胆管では酸化ストレスが亢進しAE2発限低下を認めた。またPBC胆管の中でも胆管炎活動性が高いほどAE2発現は低下していることが明らかとなった。
以上の結果から、AE2発現に注目することにより、自然免疫リガンドと疎水性胆汁酸刺激による胆管炎の進行と、免疫細胞からのIFN-g刺激が加わることによる悪性サイクルの完成が明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Hydrophobic bile acids suppress expression of AE2 in biliary epithelial cells and induce bile duct inflammation in primary biliary cholangitis2016

    • 著者名/発表者名
      Hisamoto S, Shimoda S, Harada K, et al
    • 雑誌名

      J Autoimmun

      巻: 75 ページ: 150-160

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] PBC胆管炎を模倣したAE2発現低下による胆管細胞での慢性炎症の誘導2016

    • 著者名/発表者名
      下田慎治
    • 学会等名
      日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      千葉市
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-20
  • [学会発表] PBCでの胆管細胞AE2発現低下は慢性炎症性変化を亢進させる2016

    • 著者名/発表者名
      下田慎治
    • 学会等名
      日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      新宿区
    • 年月日
      2016-04-21 – 2016-04-23

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公開日: 2018-01-16  

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